ビットコインETFのオプション取引が開始──厳しいポジション上限のなかで好調
新たなビットコイン(BTC)連動商品、新たなサクセスストーリー。今回は、ブラックロック(BlackRock)のビットコインETF(上場投資信託)「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」に連動するオプションの取引が、米国時間11月19日にナスダックで開始され、11月20日に取引が開始された一部の競合商品よりも1日早いスタートを切った。 時価総額440億ドル(約6兆8200億円)のIBITは、想定元本で20億ドル(約3100億円)を超えるオプション取引を行った。Coinglassのデータによると、ETF自体の取引高は40億ドル(約6200億円)を超えた。これを上回るのはSPDR S&P 500 ETF Trust (SPY)、Invesco QQQ Trust Series 1(QQQ)、iShares Russell 2000ETF(IWM)のみで、いずれも時価総額はIBITよりはるかに大きい。 ブルームバーグ(Bloomberg)のシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏は、IBITオプションの初日のパフォーマンスを高く評価。まだ上位のETFには挑んでいないが、今後数日か数週間でそうなると同氏は予想している。 「初日で19億ドル(約2945億円)というのは前代未聞だ。ちなみにProShares Bitcoin Strategy ETF(BITO)の初日の取引高は3億6300万ドル(約562億6500万円)で、このETFは4年前から存在する。また、これは2万5000契約というポジション上限があるなかでの結果だ。19億ドルはまだトップクラスではなく、SPDR Gold Shares(GLD)の本日の取引高は50億ドル(約7750億円)だったが、あと数日から数週間は様子を見よう」と同氏は述べた。
厳しいポジション上限
同氏の発言で興味深いのは、IBITや他のビットコインETFオプションのポジション上限が、伝統的金融の上限よりも厳しいことだ。IBITでは2万5000契約しか承認されておらず、つまり市場参加者は特定の時点で最大2万5000契約しか保有または管理できないということだ。 ビットワイズ(Bitwise)のアルファ戦略責任者、ジェフ・パーク(Jeff Park)氏は、ETFが受けた不公平な扱いについて詳しく述べた。 パーク氏はXで、権利行使リスク(オプション契約が行使されたり、実際の株式に転換されたりした総額)は、IBITの発行済み株式の0.5%未満にしか相当しないと説明。一方、業界標準は7%に近く、比較数値は7%になる。0.5%という数字がいかに小さいかを示すために例を挙げると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物契約では2000件の取引が認められており、これはIBITに換算すると17万5000件に相当する。 さらに、CMEグループはビットコインをオプションではなく、主に先物資産として取引することを望んでいるとパーク氏は考えているという。米商品先物取引委員会(CFTC)と米証券取引委員会(SEC)の規制当局は、市場操作を防ぐためにこの上限を設けた。 「CMEグループはビットコインが主に先物として取引されることを望んでおり、“ビットコイン・フライデー先物(BFF)”のようなローンチで自らを支配的市場として位置づけようとしていることは明らかだ。もしCFTCがSECと同じくらい政治的であったなら、公正なローンチは実現できなかったかもしれない」とパーク氏は語った。