フリーランス協会が関西で活動開始「自分らしく働くために」
フリーランスが作る新しい共助のかたち
フリーランス協会は「だれもが自分らしく働ける社会の実現へ」「フリーランスが作る新しい共助のかたち」を基本理念に、今年1月結成され、4月に社団法人化。ワーカー自身が主役を務めるオープンなプラットフォーム作りが進む。コミュニティ形成やスキル習得、キャリアアップ支援などによる「互助の場作り」、法人会員と連携した「共助の仕組み作り」、政府・自治体に対する政策提言による「公助への働き方」が重点項目だ。 現時点で一般会員は460人。都内中心部のコワーキングスペースに拠点を置き、事務局として50人以上のワーカー会員が運営をサポートしているが、事務局会員たちは全国に点在したままリモートワーク方式でネットワークを形成して活動中だ。 すでに共助の仕組み作りの一環として、フリーランス会員を対象に、賠償責任保険、福利厚生、所得補償などを組み込んだ独自のベネフィットプランを開発。フリーランスでも安心して働ける環境醸成へ一歩踏み出した。
専門性を磨き企業と対等なパートナーへ
関西での初ミーティングに集まったワーカーたちは多士済々。自己紹介をしながら働き方の違いが明らかになると同時に、お互いに共有共感し合える要素を探そうという配慮が強く感じられた。一般的に働くことに関する問題は視点や立場が異なると、世界が違ってみえ、ときに対立を招きやすいのが悩ましい。 しかし、女性参加者の1人は企業人として懸命に人事業務をこなす一方で、「私自身もなぜ会社で働くのか、もっと別の働き方がないのかと考え始め、会社に勤めながらもフリーランスで何かできないとの思いが強まってきた」と、揺れ動く気持ちを率直に明かす。さりげなくも勇気ある自己表白が、フリーランス協会の投げかけた問題提起の重さを指し示している気がした。 意欲的なコアメンバーも働き方が異なるため、大勢で集まれる機会は少ない。フリーランス協会では発案者が事業を推進するプロジェクト制を採用している。初回ミーティングでも一通り活動案が討議された後、イベント別に自己申告制で担当者を募り、サクサクと議事を進行させる決定力の高さに驚かされた。詳細はSNSで情報交換しながら詰めていくという。「できる範囲内で負担をシェアして積極的に」。互助型ネットワーク安定運営の秘けつのようだ。 世間でのフリーランスの定義付けや評価はあいまいで、現状は必ずしも楽観視できない。組織の束縛から解き放たれ飛躍のチャンスを獲得できる半面、フリーランスとは名ばかりで、使い勝手の良い格安の臨時ワーカーとして利用される「不自由な」一面を否定できない。 平田代表理事は「フリーランスを増やすことだけを考えているわけではない」と前置きしたうえで、「企業と個人は本来対等なパートナーであり、個人が自律的なキャリア形成で自分らしく働ける社会を実現したい。個々人が企業と対等に交渉するため、プロフェッショナルな人材として専門性を獲得できるよう支援していく」と話す。関西のワーカーに対しては「フリーランスといえども、ひとりでは活動しにくい。ゆるやかなコミュニティを作ってつながってほしい」とエールを送る。 企業や契約先と対等に交渉してパートナーシップを結ぶため、自身のキャリアを棚卸して個を磨く。仲間と連携し、互いに助け合う。フリーランスの可能性と課題に向き合う人たちの新しい働き方や生き方に、関心が高まる。(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)