枝豆が連日の酷暑で育たない…栽培面積の5割で影響、出荷できず 福井県内の一大産地、嶺南東部
枝豆の生産が盛んな福井県の嶺南東部で、連日の厳しい暑さにより生育に大きな影響が出ていることが8月1日、県嶺南振興局二州農林部への取材で分かった。栽培面積の5割程度で、さやや実が大きくならず出荷できない状況。県内でこうした報告は過去になく、6月下旬から7月初めの雨で根が傷みやすくなった後に高温が続き、生育が阻害されたと考えられるという。 県園芸振興課によると、県内で栽培される主な野菜36品目の栽培面積で、枝豆は2022年度実績で6番目の規模があり、販売額は約3800万円に上る。二州農林部技術経営支援課によると、枝豆を県内で大規模に栽培し、市場などに出荷している農家は現在6軒で栽培面積は計23ヘクタール。うち敦賀市、美浜町、若狭町三方地区で5軒18ヘクタールを占めている。 例年、5、6月に種をまき、6月下旬に開花して受粉。7月に入るとさやや実ができ始め、8月ごろに収穫している。今年は6月23日から7月1日にかけて嶺南東部でまとまった雨が続き、土の中の水分が多くなり根が傷みやすい状態になった。加えて、7月上旬は連日35度前後の最高気温を観測し、高温のストレスから、さやや実の成長が止まったとみられる。 美浜町興道寺の農業生産法人「無限大」は県内で最も栽培面積が大きく、15ヘクタールで約100トンを生産している。今年は7・5ヘクタール、約50トン分で、さやや実が大きくならなかった。出荷できていれば2500万円程度の売り上げになっていたという。 二州農林部技術経営支援課の担当者によると、全国では暑さや湿害で枝豆の収量が減少した事例はあるものの、県内での報告は初めて。2007年の同法人設立時から枝豆を栽培している木子(きご)博文社長は「異常気象が当たり前になり、一つの品目を大規模に育てるのはリスクが大きくなった」と肩を落とした。
福井新聞社