窪塚愛流が地元の大阪で、新しい感覚の二人芝居『ボクの穴、彼の穴。』に挑む
若手俳優の窪塚愛流が、初舞台にして二人芝居『ボクの穴、彼の穴。』に挑戦する。デビッド・カリとセルジュ・ブロックの同名絵本を松尾スズキが翻訳。その絵本を原作に、俳優・劇作家・脚本家のノゾエ征爾が舞台化した作品だ。 窪塚は2018年にスクリーンデビューし、2021年から本格的に俳優活動をスタート。二十歳になった今年は初主演した映画『ハピネス』も公開された。初舞台のオファーを受け、「いつかは舞台に立ちたいと思っていましたが、うわーっ、自分にはまだ早いんじゃないかと構えてしまって。でも、ノゾエさんが、僕のそんな弱気な部分にしっかりと寄り添ってくださり、前を向ける言葉をたくさんいただいた」と、今は意欲的に稽古に励む日々だ。 戦場の穴の中で、戦うために待機させられた二人の兵士の物語。今回は、ボクチームの井之脇海×上川周作、彼チームの窪塚×篠原悠伸に分かれて見せる。原作や台本を読み、「いわゆる戦闘の激しいシーンや、グロテスクな表現はないのですが、兵士たちが精神的に追い詰められていく姿とセリフの重みを感じて。台本はコンビニという言葉も出てくるほど現代的で、死を前にすると、コンビニの唐揚げとかを食べたくなるのかなとリアルに想像でき、平穏な日常がどれほどありがたいことであるかを実感しました。今まで戦争は俯瞰でしか見てなかったんですが、戦争に行く人の気持ちが分かるような気がします」。祖父母も戦争を体験したことはないという若い世代だが、ノゾエからは「嘘で作るのではなく、役と自分が似ている部分を探し、映画やドキュメンタリーなどからヒントを得て、役に落とし込んでほしい」とアドバイスを受けている。 子どものころから父の窪塚洋介や、叔父の窪塚俊介の出演している舞台を見に行っていた。「自分がよく知っている人なのに、舞台では全く知らない別人になっている。すごい所だなとしか思わなくて。今度は逆に僕を知っている人がそう思ってくれたらうれしいですね」と言う。 大阪は幼少のころから12年間過ごした地元。大阪という言葉を聞くだけで、「心が浄化されて温かい気持ちになる。いつも励ましてくれる街で、感謝しかない」とほほ笑む。大阪弁は「友達といる時は、僕は話しているつもりなんですけど、最近は話さなくなったねと言われちゃう(笑)」という始末だが、とにかく“凱旋”を心待ちにしている。「大好きな大阪で、ほかにはない新しい感覚の二人芝居を楽しんでいただけるとうれしいです。舞台は、観客の皆さんに感情や熱量を感じていただける場所ですので、自由な芝居ができるように頑張ります」と真っすぐな瞳で語ってくれた。 チケットは発売中。 取材・文:米満ゆう子 <公演情報> モチロンプロデュース「ボクの穴、彼の穴。W」 【東京公演】 ▼9月17日(火)~29日(日) スパイラルホール 【大阪公演】 ▼10月4日(金) ~6日(日) 近鉄アート館 [翻案・脚本・演出]ノゾエ征爾 [翻訳]松尾スズキ [原案・原作]デビッド・カリ/セルジュ・ブロック(イラスト) [出演〈ボクチーム〉]井之脇海/上川周作 [出演〈彼チーム〉]窪塚愛流/篠原悠伸 [問]キョードーインフォメーション■0570-200-888