大胆な予想ではない! 2016年は日経平均4,000円上昇 為替130円
2016年は申(さる)年です。相場の格言に「申酉(さるとり)騒ぐ」とあります。4日の大発会で日経平均株価終値が、前年末より582円安。さらには中東情勢の緊迫化、北朝鮮の水爆実験報道を受け、早くも波乱の兆しをみせています。それでも市場関係者のあいだでは、騒ぎ暴れる申の相場に大いに期待を寄せているようです。 さて、16年の株・為替の動きはどうなるのでしょう? これから国内外のどのようなイベントなどに着目して、相場を読んでいけばいいのかを第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一さんが、わかりやすく解説していきます。
2016年はズバリ、日経平均は4,000円上昇 為替は130円と10円安に
第一弾として、2016年の株価・為替予想をご案内したいと思います。結論を先取りすると、筆者は、日経平均が2万3,000円まで上値を伸ばし、USD/JPYは130円まで円安が進行すると予想しています。昨年末の日経平均が1万9,033円、USD/JPYが120円近傍だったので、日経平均は4,000円上昇、USD/JPYは10円も円安が進むとの予想です。 一見すると、大胆な予想に感じられるかもしれません。しかしながら、15年に日経平均が2万900円、USD/JPYが125円を超える場面があったことを思い出してください。そこを起点にすると、日経平均は約10%、USD/JPYは約4%の上昇に過ぎず、けっして大胆な予想ではないことがわかります。 もうひとつ別の視点から補完しておきましょう。今次サイクルの円安・株高は12年11月がスタート地点でした。それ以前の日経平均は8,000円台前半、USD/JPYは75円台で推移していましたので、15年までに日経平均は約250%の上昇、USD/JPYは約60%も円安が進行したことになります。16年に10%の株高・4%の円安が進むとの予想は、こうしたトレンドが続くという基本感に基づいています。
株価動向はEPSと株主還元策をチェック!
この予想の根拠を少し詳しめに解説します。 先ずは日経平均。株価を決定する要素はじつにさまざまですが、基本的には企業業績が重要となります。ただ、一口に業績といっても、そのパフォーマンスを測るための尺度・指標は数多く存在します。 そこで、株価を予想するうえで投資家が最も重視している、あるいはそうすべきなのは、一株あたり利益(EPS)です。一株あたり利益は分子が純利益、分母が発行済み株式数なので、それを増加させるには、少ない資本で大きな利益をあげることが求められます。 そのEPSは12カ月先の予想で10%程度の成長トレンドを見込んでおり、それは10%程度の株価上昇を正当化する有力な根拠になります。これが2万3,000円までの株価上昇を見込む理由の一つで、また市場参加者の株価予想が2万2,000-2万3,000円に集中しているのは、おそらくこのためでしょう。決算発表が集中する1月下旬~2月上中旬、4月下旬~5月上中旬は、企業業績に対する期待が高まると予想されます。 そして、もう一つ投資家の期待を高める要因として注目されるのは、企業が打ち出す株主還元策です。増配・自社株買いが予想以上の進捗となれば、資本効率が高まることが期待され、株価の押し上げにつながるでしょう。2万3,000円を上回るか下回るかは、企業の株主還元策が重要な鍵を握ります。