大胆な予想ではない! 2016年は日経平均4,000円上昇 為替130円
FRBさらなる利上げは2~3回 まずは3月公表のドットチャートを注視
次にUSD/JPY。USD/JPYの予想にあたって注視すべきは日米の金融政策の方向性です。 まずは米国。米連邦準備理事会(FRB)は15年12月におよそ10年ぶりの利上げを決断しました。これはドル高政策です。利上げは16年も継続する見込みで、FRBは16年に4回の利上げ(各回0.25%で合計1%)をすると自らの行動を予想しています。この予想はドットチャートと呼ばれ、公表は3カ月に一度。非常に注目度が高いので為替のみならず、株式、債券不動産投資信託(REIT)などあらゆるものにインパクトを与えます。直近は15年12月、次回は16年3月に公表予定です。 一方、市場参加者が予想するFRBの利上げ回数はせいぜい2回か3回です。これは、市場参加者の方が(FRBよりも)米国経済を慎重に見ているということの表れです。 このように両者のシナリオには隔たりがあるわけですが、これがいつどのような形で収れんするかが、重要なポイントになります。ちなみに筆者はFRBと同じ4回の利上げを見込んでおり、市場参加者の平均的な見方よりも利上げに前向き、すなわち米国経済を強気にみています。これがUSD/JPYが130円まで上昇すると予想している理由の一つです。 今年最初のヤマ場は追加利上げが決定されるであろう3月です。また、そこではFRBが年4回の利上げ予想を維持することが見込まれます。筆者は2回、3回の利上げを予想している市場参加者のシナリオが修正を迫られ、ドル買い圧力が高まる展開を想定しています。
日銀4月に追加緩和? 日銀よりも注目すべきはFRBの動向
一方、日銀は量的・質的金融緩和(QQE)を継続しており、これは円安政策です。日米両中銀がドル高・円安政策を採用しているので、USD/JPYが上昇するのは自然な流れといえるでしょう。筆者は、日銀が16年4月に黒田総裁の下で、最後の追加緩和に踏み切ると予想しており、仮にそうなれば筆者の予想以上に円安が進む可能性も考えられます。 ただ、USD/JPYを予想するにあたって避けるべきことは、日銀の金融政策を中心に考えることです。USD/JPYの大きなトレンドを作り出すのはFRB、日銀はその勢いを調整する程度と考えておくのが良いでしょう。日銀が追加緩和をしなくとも、FRBが4回の利上げペースを崩さなければ、USD/JPYが130円に到達する可能性があります。 次回以降、中央銀行の行動、ひいてはマーケットに影響を与える経済指標等について解説していきたいと思います。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。