実現間近の「空飛ぶタクシー」、車で1時間のルートが7分に! 安全性は? 運賃は?
安全対策は?
空飛ぶタクシーにとって大きな山場は、いかにして乗客の信頼を勝ち取り、英民間航空局や米連邦航空局などから全面的な承認を得るかだ。航空安全を専門とする英エベニが2024年3月に出した報告書は以下のように説明する。 「リチウムイオン電池は外部からの衝撃や過充電で発火することがある。低高度での飛行や都市部での飛行は鳥との衝突が増える危険があるため、メーカーは損傷(特にバッテリーや揚力/推進ユニット周辺の)による影響を考慮する必要がある」 こうした問題に関して、億航智能(イーハン)は主要なコンポーネントにはすべてバックアップが備えられており、障害が発生しても安全を確保できるとしている。
手頃な運賃か?
空飛ぶタクシーの製造コストが約2億円であることを考えれば、運賃が手頃かというと、答えは間違いなく「ノー」だ。手頃な運賃を約束している企業もあるが、運航開始初期は、飛行機のファーストクラスの乗客を静かで環境に優しい方法で空港と都心部を送り迎えするなど、ヘリコプターのニッチ市場を埋めるような形になると思われる。 しかし、先端技術の多くが広く利用可能になった将来は、空飛ぶタクシーの数も増え、普通の人々も気軽に乗れるようになるだろう。
文=Peter Grunert/訳=三好由美子