実現間近の「空飛ぶタクシー」、車で1時間のルートが7分に! 安全性は? 運賃は?
ドバイ、ロンドン、ニューヨークでサービス開始の準備が進む
世界の大都市の空を、眼下の交通渋滞を尻目に飛んでいく。それは皆が長い間、心待ちにしていた未来の姿だろう。そんな未来予想図が間もなくドバイやニューヨークなどで現実となりそうだ。英国でも運輸省がつい最近、「飛行の未来」行動計画(Future of Flight action plan)を発表、早ければ2年後にはロンドンでも電動垂直離着陸機(eVTOL)、いわゆる「空飛ぶタクシー」の運用を開始するという目標を打ち立てた。 【動画】おぼれる少年をドローンが救助、世界
どんな乗り物か?
開発を手がけるテクノロジー企業は150社以上あるが、空飛ぶタクシーはドローンのような形になるだろうというコンセンサスができあがりつつある。プロペラ駆動のドローンはこの15年間で、不安定でしょっちゅう事故を起こしているおもちゃから、へき地に荷物を届け、空中に映像を表示することも可能なデバイスへと進化した。すべてはリチウムインオン電池、電動機、そしてソフトウエアが進歩したおかげだ。 米カリフォルニア州に本社を置くジョビー・アビエーションは、新技術を駆使しeVTOLを開発する企業の1つだ。同社のeVTOLは6台の電動機と方向可変型のプロペラで最高速度は時速約320キロメートルに達する。1回の充電による航続距離は約160キロメートル、定員は4人で、当面はパイロットが操縦する。 排気ガスを出さないため、従来の自動車に比べ、二酸化炭素排出量は少ない。そのうえ、ほぼ無音で空を飛ぶ。航空、宇宙、防衛分野をカバーする「Aviation Week」の編集者であるガイ・ノリス氏はプロトタイプを視察し、「聞こえるか、聞こえないか。それぐらいの音しか立てない」と言っている。
最初に運航するのは?
EV(電気自動車)において世界中で存在感を示す中国。空飛ぶタクシーの分野でも中国は新しい技術を生み出している。 中国のドローンメーカーである億航智能(イーハン)は2023年、同社が開発した空飛ぶタクシーに対し中国民用航空局より品質を認証する「型式認証」を取得した。現在、観光や安徽(あんき)省合肥(ごうひ)市の定期往復便用に100機を受注しており、無人操縦機の開発にも乗り出している。 バーティカル・エアロスペースは英国ではeVTOLのパイオニア的存在で、ブリストルに本社を置く。同社が英国政府より3700万ポンド(約74億円)の補助金を得て完成を目指す5人乗りのeVTOLは、英民間航空局より設計承認を受けたところ。2026年までにはロンドンで試験飛行を開始する。 離着陸場「バーティポート」については目下選定中だ。ロンドン市内においては「バーティポートとして建物の屋上を模索する企業もあります」とバーティカル・エアロスペースの広報担当者であるウィル・ネイサン氏は言う。 2023年11月、ジョビー・アビエーションはニューヨークのマンハッタンからジョン・F・ケネディ国際空港までの試験飛行を成功させた。同社によると通常はタクシーで1時間ほどかかるが7分に短縮できた。2025年には初の商用運航を始める予定だという。また、ドバイ道路交通局とも2026年のサービス開始に向けて6年間の独占契約を結んでいる。