秋に急激に「肌の乾燥」を感じたら。今すぐ食べておくべきものって何?【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
秋に摂りたい意外な食材は?まさかのコレ
では、秋に摂りたい食材とは何なのでしょうか。まず、赤しそ。赤しその香りには毛穴を緩やかに開く働きがあるので、辛いという味に分類されています。続いて、からし。TOP画像は山形県を訪問した際に食べた特産の玉こんにゃくです。こんにゃくは肺・大腸の経絡に働きかける、この時期におすすめの食材です。改めて写真をよく見ると、からしが添えてあります。からしの辛みで開く作用を足すことで、肺の機能により働きかけているとも解釈できますね。 熊本名物からしれんこんも、白い食材であるれんこんの穴にからし味噌を詰めて、卵黄やウコンなどを混ぜた衣をつけて油で揚げたもの。ウコンの辛みと苦みで肺の宣発と粛降に働きかけている…と思うと、山形県の玉こんにゃくしかり、昔からの名物食を構成食材の働きから紐解くと、身体の健康をよく考えて作られたのだろうな…と感心します。 れんこんの穴は肥後藩(後の熊本県)細川家の家紋、九曜(くよう)の紋に良く似ています。初代藩主が病弱だったことを心配した寺の和尚が、「何か栄養のあるものを…」と熊本城の外堀に植えていた蓮を食べさせようとしたのがきっかけだそうです。この外堀の蓮は、加藤清正が非常食用にと植えていたものだったとのことで、やはり熊本は、昔から食養生の意識が高い土地なんだな…と感じます。
熊本はさまざまな食の力を感じとる文化をはぐくみ続けたのだな、と思います
熊本にいると、食材のほかにもいくつかの食文化にめぐり合うことが出来ます。日本酒に欠かせない酵母で、酸が穏やかで華やかな香りを作ることができる酵母「きょうかい9号」は熊本県が発祥の地です。また、熊本には北部と南部で異なる食文化をたどってきた名残があります。熊本県北部地域は細川藩の影響で日本酒の蔵元が多く、南部地域は海外交易を盛んに行っていた相良一族に伴う影響で焼酎文化が根付いています。それと、熊本には味噌天神という愛称で呼ばれる、日本で唯一の味噌の神の神社があります。このように、食と密接に神の力を感じ取る文化だったのだと思います。 写真は真西の方角に沈む太陽です。秋分は太陽が真西に落ちていきます。再春館ヒルトップではちょうど大木の向こう側に夕陽が見える頃で、業務終了後の帰宅の途につく18時過ぎにこのような夕陽に出会うことが出来ます。秋分の夕陽を見るのは今年で18回目になります。来年も健やかに19回目を見たいと思います。
再春館製薬所 田野岡亮太