トンデモ資本主義観、石破首相の「豹変」は付け焼き刃か 「反アベノミクス」「脱成長」→「脱デフレ脱却を最優先」のお粗末
「財政黒字化」は危険
石破首相はとりあえず、日銀の利上げ支持は引っ込めたようだが、より気がかりなのは財政出動の重大性の認識である。財務官僚は国債費を含めた財政収支の黒字化を石破政権に呑(の)ませようと画策している。そうなれば、年間数十兆円もの需要が民間から奪われ、デフレに舞い戻るだろう。
グラフは一般政府(中央、地方政府と社会保障基金の合計)の純債務(総債務の総資産に対する超過分)の対名目国内総生産(GDP)比率と円ドル相場の推移である。円安とともに純債務比率が劇的に減少している。円安で外貨準備や公的年金の対外資産が急増すると同時に、物価上昇で名目GDPが大きく伸びたためである。経済成長に向け財政支出を増やすゆとりは十分ある。利上げによって円高誘導すれば、元も子もなくなるだろう。 (産経新聞特別記者・田村秀男)