巨人対DeNA 5回表DeNA無死一塁、二塁盗塁を決める梶原（撮影・宮地輝）

＜セ・CSファイナルステージ：巨人1－2DeNA＞◇第3戦◇18日◇東京ドーム 　選手のプレーを見ていると、どちらが優勝したチームなのか分からなくなるような試合内容だった。シーズン3位のDeNAは、CSで別のチームになったように好プレーを見せ、走塁にも隙がなく、常に圧力をかけていく野球ができていた。この差が、そのまま勝敗に表れた。 　隙がない走塁が決勝点に結び付いた。5回表、先頭打者の梶原がレフト前ヒットで出塁。今季のDeNAの犠打数はセ・リーグ最少の85犠打で、打者は2番の牧。犠打はないと考えていいが、盗塁数はセ・リーグでトップの69盗塁。強打者の牧をどうやって封じ込むかは重要だが、一塁走者の梶原はシーズンでも16盗塁を決めており、盗塁を頭の中に入れて攻めなければいけなかった。 　2番手でこのイニングからリリーフした赤星は、牧に対して初球を投げた後、けん制球を入れた。3球でカウント1－2に追い込んだ後だった。1度、けん制を投げた後、低めにフォークを投げたとき梶原はスタートを切り、投球はワンバウンド。まんまと盗塁が決まった。 　細かいようだが、基本的な戦術でもある。追い込んだ直後であり、巨人バッテリーは落ちる系の球で空振り三振を狙いたくなる。カウントにも余裕があり、甘くならないように低めを狙うが、一塁走者の梶原も同じように考えていただろう。捕手が送球しにくくなる低めで、ワンバウンドする確率も高い。仮に真っすぐなら、追い込まれている牧は打ちにくる。バットコントロールもいいだけにランエンドヒットになると思ってスタートを切ったのだと思う。 　無死二塁から牧が進塁打。投ゴロだが、逆方向に追っ付けるバッティングで走者を進めた。2死三塁、カウント2－2からオースティンへの5球目が暴投になって決勝点になった。 　暴投になった球は、外角低めへの真っすぐだった。150キロの真っすぐだが、ワンバウンドしたわけではない。引っかけ癖がある赤星が甘くならないように投げるのだから、岸田は絶対に止めなければいけなかった。 　シーズン中から積極的に盗塁を狙っていったチームの方針で、梶原の盗塁技術の経験値が上がったのだと思う。一方の巨人は捕手を固定できず、大一番での隙となった。 　DeNAの守りで大きかったのが、1点ビハインドで迎えた3回裏1死満塁からの牧のファインプレー。センター前に抜けそうな打球を横っ跳びでキャッチし、素早いトスで併殺を完成させた。適時打になっていれば、一気に巨人へ試合の流れが傾いたかもしれない。エラー数もセ・リーグトップの96失策だったDeNAが、守りでリズムをつかみ、長所でもある盗塁から決勝点を奪った。 　エラー数はセ・リーグ最少だった巨人だが、CSではまずい守備が目についている。打てない打線もきっかけを作れずにいる。崖っぷちに追い込まれた。（日刊スポーツ評論家）