アフリカ開発会議って何? ― 横浜開催のTICAD Vをやさしく解説
■日本主催のアフリカ会議 6月1日から、日本政府などの主催で、横浜で第5回アフリカ開発会議(TICAD V=ティカッド・ファイブ)が開催されます。今回はアフリカ52カ国から大統領級の代表者が出席し、さらに80以上の国際機関、そして各国のNGOが集まる見込みです。 TICADは1993年の第1回以来、5年おきに日本で開催されてきました。毎回、貿易や投資の活性化、インフラ整備、教育支援、環境対策など、幅広いテーマが話し合われています。50カ国以上が定期的に日本に集まる首脳級の国際会議は、他に例がありません。 ■TICAD誕生の背景 1989年の冷戦終結後、欧米諸国の多くは、当時の厳しい経済環境を背景に、アフリカ向け援助を削減しました。これに対して、この時期の日本は経済的に順調だったことから、アフリカ向け援助を据え置きました。それは、アフリカでの日本の存在感を、相対的に高めたのです。 このなかでのTICAD開催は、「世界一の最貧地帯」アフリカに対する日本のアプローチ強化を、国際的に宣言するものでした。日本のアフリカ接近の背景には、資源の確保と、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りの支持の獲得という、二つの大きな目的もありました。 ■これまでの成果 ただし、これら日本自身の利益を念頭に置きながらも、TICADは回数を重ねるなか、むしろ「アフリカの開発と平和」そのものが焦点になりました。その最大の成果は、国際協力の一つの流れを生んだことです。 TICADの基本原則は、「オーナーシップ(自助努力)」と「パートナーシップ(協調)」。つまり、アフリカの開発はアフリカ自身に決定権と責任があり、国際社会はそのために協力する、という考え方です。当たり前のようですが、それまでの欧米諸国の援助の多くは、自分たちの考え方やプログラムを半ば強制するものでした。いわば「お仕着せ」の援助では効果が薄いという考え方を広めた点で、TICADには大きな意義がありました。 近年では、アフリカの天然資源開発に関心が高まるなか、中国やインドなど新興国も同様の会議を開催していますが、それらのほとんどは自国の経済的利益を直接的に反映したもので、この点でTICADと対照的です。