「辺野古反対」知事誕生、衆院選で自民全敗 “潮目”が変わった沖縄の政治
政府の“揺さぶり”にも対応必要
もっとも、潮目が変わったとはいえ、翁長知事など辺野古への移設に反対する人たちに何か具体的な方策があるわけではないようです。仲井真前知事は13年末に普天間基地の辺野古の移設容認を表明し、移設先のキャンプシュワブ沿岸の埋め立て計画を許可しましたが、移設を推進したい安倍政権は、埋め立て承認という行政処分を撤回できるのは許可の手続きに明確な誤りがあったり、米政府が辺野古移設を中止するなどの状況の変化があった場合のみだとしています。そのため、翁長知事も辺野古の埋め立て承認の「撤回」までは踏み込みませんでした。 また、安倍政権は15年度予算案で沖縄振興予算を削減する方向で調整しています。振興予算は基地負担を前提としたものなので削減は当然という理屈ですが、移設反対を打ち出す以上、政府による経済的揺さぶりにも対応しなければなりません。 ただ、さまざまな考え方があるにせよ、これまでのように地元沖縄の意向を無視する形で普天間基地の問題を進めるような状況は避ける必要があります。地元を無視すれば混乱が深まるだけとの見方もあります。沖縄の政治の変化は、いわば沖縄の民意です。政府がその声をどう受け止めるのか、注視していく必要があるでしょう。 (真野キヨシ/清談社)