東日本大震災から5年 南相馬市長が17日に会見(質疑応答2完)
あの震災が共有されていない
司会:(英語) 通訳:これで最後の質問になります。 AFP通信社:AFP通信社のイトウと申します。先週、南相馬で取材をさせていただいたんですけれども、やはり東京と温度差が、人の感覚の温度差が違うなと。で、市長おっしゃられたように再稼働、あるいは記憶の風化、他方、南海トラフ、あるいはどこで何が起きてもおかしくないという日本列島の中で教訓が学べてないのではないかなという気がします。これは、例えばいろんな要素があると思うんですれども、政治であるとか行政であるとか、あるいは日本人のそういう、日本人気質であるとか、市長はその背景には何があると思われますでしょうか。 通訳:(英語) 桜井:結論的に申し上げれば、あの震災が共有されていないんだと思います。それは、津波で636人が犠牲になってまだ111人が見つかっていない。加えて原発事故によって485人もの方々が、この避難によって亡くなられたと認定されています。いま、現実に南相馬市で起こっていることを本当に、南海トラフや再稼働する地域の首長さんたちが知っていたならば、市民に対する責任として命の重さを考えるはずなんですけれども、残念ながらエコノミー、エコノミー、エコノミーと叫ぶ首相に象徴されるように、命が先なのか暮らしが先なのかということを勘違いしているような人たちが政治の中にもいるんじゃないかと思います。われわれ現場で政治をあずかる者にとって一番大切なのは、市民の命なんですよ。命があってこそ暮らしが成り立つわけですから、命を危うくするような政策は押し進めるべきではないというのが私の考え方で、この考え、こういう現場での教訓が残念ながら生かされていない現実が再稼働に結び付いているんだろうと思います。 (完)