「香港人はあきらめない」出身者ら100人が民主と自由訴え 100万人抗議デモから5年
香港で2019年に行われた大規模抗議デモから5年となった9日、東京・新宿で在日香港人ら約100人が香港の民主化を求めるデモ活動を行った。香港は20年に中国政府が香港国家安全維持法(国安法)を導入し、言論、集会、報道の自由が失われている。香港出身者が東京でデモ活動を行う背景に、香港で民主化を求める声をあげられない現状に加え、民主主義を脅かす中国政府の脅威の実態を日本人に伝えたい思いがある。 【画像】3年ぶりにユーチューブに動画を投稿した周庭氏。刑務所生活を語る 参加者は「光復香港(香港を取り戻せ)」のメッセージを記した旗を振りながら、新宿中央公園から新宿駅周辺を約1時間半練り歩いた。「香港に自由を」と訴える参加者の大半は中国当局に身元が明らかになるのを防ぐため、サングラスとマスク姿だった。 香港では2019年6月9日、容疑者の中国本土への引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の審議に反発し、103万人(主催者発表)の市民が抗議活動を起こした。以降、香港当局や中国当局は民主派の締め付けを強化。20年6月に施行された国安法で香港に高度な自治を認めた一国二制度は形骸化し、今年3月には国安法を補完する条例も施行され、香港の「中国化」が進んでいる。 主催団体の一つ「香港民主女神」の李伊東(アリック・リー)さんは「香港は今、自由が無くなった。反対意見の一切が公共空間で出せない。でも、香港人はあきらめていない。頑張っていく。力を貸してほしい」と訴えた上で、「日本と台湾は中国に近い。中国は香港に対して行ったことを、しばらくすると日本と台湾に行うだろう。私は香港の民衆と自由を守りたいだけじゃなくて、日本の民主主義と自由も(中国から)守りたい」と語る。 デモ活動を終えると「Stand with HK@JPN」のウィリアム・リーさんは「香港の民主化活動は終わっていない」と強調。参加者は19年の抗議活動で声を張り上げたテーマソング「香港に栄光あれ」を合唱し、解散した。この歌も今年5月に香港司法から放送や演奏を禁じる命令が出されている。(奥原慎平)