料理はお母さんがすること? 料理代行の注文も「100%母親から」 家事分担のモヤモヤ #令和の親
■日本の家事分担の歴史をたどると…
「“おふくろの味”ってこだわる国ほど、出生率低いんですよね」 そう話すのは、家族社会学やジェンダーを専門とする日本女子大学の永井暁子教授です。 日本女子大学 人間社会学部社会福祉学科 永井暁子教授 「イタリア、スペイン、韓国、そして日本などですね。逆に、出生率の回復に成功した国は、晩御飯がさっぱりしている傾向がある。 “おふくろの味”っていうのは母親を称賛する言葉でもあるけど、同時にやはり、女性に負荷がかかっている状況を現わす言葉でもあります」 とはいえ、日本も昔から食卓に手の込んだ料理が並んでいたわけではないといいます。 「家庭で毎食きちんと手の込んだ料理を作るようになったのは、高度経済成長を経て安定期になって、日本社会が豊かになってからのこと。それまでの自営業や農業中心の社会だった頃は、家庭の中で妻は内職や家業の手伝いという形で働くことが多かったんです」 夫が「会社勤め」、妻が「専業主婦」という、一般的にイメージされる“昭和の家庭像”は、1970年代以降に一般化したもの。女性は結婚後夫を支え、家事・育児に専念するべきという「性別役割分業」意識が強まり、専業主婦が増加しました。 1985年には男女雇用機会均等法が制定され、女性の社会進出も叫ばれるようになりましたが… 「女性も徐々に外に働きに出るようになりますが、今度は『新・性別役割分業』という言葉が出てきた。男性は仕事、女性は仕事も家事もするというような分業になって、女性への過重負担が問題になってきたんです」
■早く帰る方が「料理担当」
「家事の役割は特に決めていなくて、気づいた人がやっています。」 そう話すのは、現在3歳の子を育てる渡辺さん夫婦。共働きですが、夫婦2人で協力し日々の食事を準備しているといいます。 渡辺さん(妻) 「平日の夜は汁物などを作って、あとは週末に作った作り置きのおかずを出すような形にしています」 渡辺さん(夫) 「繁忙期によって逆になることもあるんですけど、今は平日の夕食は私が担当しています」 同じ職場に勤める地方公務員の2人は、朝・夕に子どもと家で過ごす時間を確保するため、今は夫が午前8時~午後4時45分、妻が午前9時~午後5時45分と、時差出勤制度を活用し勤務しています。 そこで、夕食は早く帰宅する夫が担当し、妻の帰宅に合わせ食卓の準備をしているといいます。 渡辺さん(妻) 「料理担当が女性に偏るのは、男性が料理が苦手であったり、男性の方が帰宅時間が遅いというのがあると思うんですよね。 得意不得意もあるので、夫婦で納得しているのであれば無理に男性が料理をしなくてもいいとは思うのですが、働き方の部分がネックの場合は何か考える余地があるんじゃないでしょうか」 渡辺さん(夫) 「例えば2人ともフルタイムであれば、夕方仕事を切り上げて帰るのは女性という風潮になっている。 雇う側も、子どもがいる女性社員には残業をお願いしにくいけど、男性社員にはそうでもないとか…その辺りが改善されないと、なかなか問題は解決していかないと思います」