トランプ次期政権との良好な関係可能、当局は慎重さ維持-FRB議長
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、財務長官に指名されているスコット・ベッセント氏を含むトランプ次期政権とも現在と同様の関係を築けるとし、金融当局は利下げを継続する中で慎重に判断することが可能だと述べた。
パウエル議長は4日、ニューヨークで開催されたニューヨーク・タイムズ紙のイベントで、景気を刺激も抑制もしない中立水準を探る上で「もう少し慎重になれる余裕がある」と語った。
10月の米個人消費支出(PCE)統計では、金融当局がインフレ指標として重視するPCEコア価格指数の前年同月比の伸びが加速。当局者が利下げに慎重な姿勢を示していることを裏打ちする内容となった。
一方、パウエル議長は労働市場の下振れリスクは後退したようだと指摘した。
連邦公開市場委員会(FOMC)は12月17-18日にワシントンで会合を開く。パウエル議長は同会合で利下げを支持するかどうかについて明言しなかった。
ただ今回の発言を受け、複数のアナリストが金融当局が今月に0.25ポイントの利下げを実施し、来年1月の会合で据え置きを決定するとの予想を示した。
パウエル議長は次期政権について「例えば経済諮問委員会(CEA)とも、最も重要な財務省とも、同じような全般的な関係かつ組織的な関係を築くことを十分に期待している」と語った。
ベッセント氏については「承認されれば、他の財務長官と同じような関係を築けると確信している」と述べた。
ベッセント氏は、2026年のパウエル議長の任期終了に先立ち、「影のFRB議長」を指名する案を支持している。実際にそうなれば、FRB議長の金融市場への影響力を弱める可能性がある。
パウエル議長は「そのようなことが検討されているとは全く思わない」と述べ、次期政権がこうした案を追求しないとの考えを示した。
経済見通し
パウエル議長はまた、経済は「非常に良好な状態」にあり、成長はこれまで考えられていたよりも力強いと言及。「経済と金融政策の現状について非常に満足している」とし、インフレ率は金融当局の目標である2%にはまだ回帰していないとしながらも、堅調な経済状況が継続できない理由はないと話した。