11月の「物価高」倒産は54件 2023年の累計589件、前年同期の2.5倍増
2023年11月 「物価高」倒産状況
2023年11月の「物価高」が起因の倒産は54件(前年同月比38.4%増)で、3月から9カ月連続で50件台の高水準で推移。2023年1-11月累計は589件(前年同期比157.2%増、前年同期229件)と、前年同期の2.5倍に増加している。 ウクライナ情勢や円安により原材料や資材だけでなく、エネルギーなど幅広い財やサービスの価格が上昇し、物価高への実効性の高い支援も必要となっている。 11月の業種別では、最多が道路貨物運送業の11件(前年同月9件)だった。燃料価格の高止まりに加え、2024年問題が迫り人材確保に伴う人件費アップも資金繰りに影響を及ぼしている。 このほか、飲食店(5件)、食料品製造業(4件)、飲食料品小売業(3件)など食品関連業種も多い。物価高と実質賃金の伸び悩みで、消費者心理の冷え込みと消費動向が注目される。 負債額別では、最多が1億円以上5億円未満の23件(前年同月比64.2%増)。次いで、1千万円以上5千万円未満の13件(同160.0%増)と中小・零細規模を中心にしている。ただ、10億円以上も2件(前年同月10件)発生し、事業規模に関係なく物価高の影響が広がっている。 形態別では、破産が50件(前年同月比72.4%増、構成比92.5%)で、コストアップが業績回復を遅らせ、事業継続をあきらめる一因となっている。 12月8日までに、外国為替市場で4カ月ぶりに1ドル=141円台まで円が上昇した。ただ、すぐに物価全体の下落にはつながらず、資金余力が乏しい企業を中心に、しばらく「物価高」倒産は高水準で推移するとみられる。 ※本調査は、2023年11月の企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、①仕入コストや資源・原材料の上昇、②価格上昇分を価格転嫁できなかった、等により倒産(私的・法的)した企業を集計、分析した。
11月の「物価高」倒産54件、高水準での推移が続く
2023年11月の「物価高」倒産は54件(前年同月比38.4%増)で、今年3月から50件台の高水準が続く。1-11月の累計は589件(前年同期比157.2%増、前年同期229件)と、前年同期の2.5倍に増加した。 穀物や原材料、資材、燃料など輸入依存度が高く、ウクライナ情勢や円安などで、物価上昇が続いている。仕入だけでなく、光熱費や配送費などもコストが上昇し、業績回復が遅れた企業ほど重く圧し掛かっている。さらに、資金需要が活発になる年末を控え、過剰債務で新たな資金調達も難しい企業も少なくないだけに、物価高が倒産増に拍車を掛けることが懸念される。