【衆院選争点】解散時に首相命名で注目ワード「地方創生」巡る県内実情…有権者の選択肢としていかに(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
10日後に迫った衆院選。静岡県内各地で連日激しい論戦が繰り広げられています。内閣発足後、戦後最短で衆議院が解散し異例の短期決戦となった今回の選挙選。今回の解散選挙を「日本創生解散」と命名した石破首相は。 (石破 茂 首相) 「地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増させ、地域の独自 の取組を強力に後押しいたして まいります。"新たな地方創生" は、いわゆる"まちおこし"の延長ではございません。日本の社会の在り方を大きく変える、日本創生の試みであります」*** 石破首相が重要な柱としている地方創生”。その具体策として「地方創生交付金」の倍増を打ち出しました。これは、国が自治体の地域活性化を後押しするためのもので、全ての都道府県が活用しているほか全国の市区町村の約8割が活用しています。 静岡県は、仏像など県内に残る文化財の3Dデータを取得し、デジタル化する取り組みの事業費 約1980万円のうち、2分の1を国からの支援金を活用しています。静岡市が進める、旧井川小学校の校舎跡に南アルプスの魅力を発信するミュージアムを整備する事業費4億円の半分は国からの支援金です。また、焼津市は、最先端の技術を活用した“スマート農業”の推進事業にかかる総事業費8320万円の半分に国からの支援金を活用し、農家への新規参入や若手の就農者数増加を目指しています。さらに、沼津市は、「フェンシングのまち沼津」としての活性化をめざし、全国大会など大規模大会の誘致や 合宿、フェンシングの体験会など5年間で総事業費3282万円の半額を交付されています。自治体が行うさまざまな地方創生事業に対し、国が資金面で後押ししているのです。さらに、10月、地方創生に関する新たな本部が設置され、年末までに基本構想をまとめていくということです。 2014年の第二次安倍政権から進められてきた“地方創生”。しかし、これまでの取り組みについて元鳥取県知事で大正大学の片山教授は、厳しい見方をしています。 (大正大学 片山 善博 特任教授) 「10年見て、ほとんど成果が上がっていないですね。全体の人口のパイが減っている中での奪い合いなので、あまり効果がない」「国自身が自分の 問題として、東京一極集中という課題に本当は対応しなければいけない。それを政府は怠っていた」 片山教授は、“地方創生”の在り方について…。 (大正大学 片山 善博 特任教授) 「国が今までのように前面に出てきて、ああしてこうしてと旗を振るのではなくて、国は後ろに控えて、地方の主体性を促す、地方の考える力を引き出す、そういう方向にかわるのであれば、地方創生の質が上がる可能性は ある」「石破さんは来年度予算で補助金 を倍増したいと言っているが、今までとは違ったやり方をしたいと言っている。それがどういう違ったやり方か今のところわからない。少なくとも今までの10年と同じやり方をしてはいけないというのは認識を持っているので、それをどっちの方向に変えていくのか、その 辺に興味関心を寄せている」 2040年に人口50万人を下回る…。9月、静岡市は独自に分析した人口推計を公開しました。静岡市は、1970年に全国11位の人口でしたが、人口減少は止まらず、2020年には初めて70万人を下回り、全国20の政令指定都市で最下位に沈みました。そして、2050年には、50万人を下回る推計となっています。 (静岡市 総合政策局 石川 賢一 企画課長) 「他の指定都市は、一定程度、東京に流出があるが、逆に周辺の市町から転入がそれなりにある。大学とか働く場所が確保されている。逆に静岡市の場合は、東京への流出はあるが、なかなか周辺の市町からの求心力がなく、他の市町からの転入がないと分析している」「人口が減ると、街の活力自体が減少してしまうのではないかと危機感を持っている」 静岡市では、4月から「出産・婚姻」「雇用・就業」などに関するアンケートを実施し、今後、結果に基づいて人口減少対策に取り組んでいくということです。テレワーク、地域経営などが専門の常葉大学・小豆川教授は、静岡県が抱える課題について…。 (常葉大学 経営学部 小豆川 裕子 教授) 「東京一極集中の是正というのはなかなか難しく」「転出を差し引いた転入超過というところでは、2023年度は10万人増えた」「静岡は人が出ていってしまうが、還流してくる仕組みづくり、その辺が重要になってくるのでは」 県内で今後“地方創生”を求められることについて…。 (常葉大学 小豆川教授) 「雇用が吸収できていないと思う。ものづくりも盛んだが、特に大学卒ということだと、理系に傾斜しているとか、その辺がまだ仕事を作り切れていないという感じがする」「産業ということを考えるとバランスがよく育っている。ただ東部・中部・西部で全然違う経済圏があるので、それぞれが特性を生かして、今の動きとしてDXをそれぞれの地域で取り入れて、イノベーションを促していくことが大事だと思う」 16日から期日前投票も始まり、ますます熱を帯びる選挙戦。各候補が訴える“地方創生”への取り組みにも注目が集まります。