【40歳以上限定】〈凡人〉として生きる知恵を教えてくれる!? 「クスッと笑える」一冊です
※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 【写真6枚】40歳以下にはおすすめできない!? 『40歳から凡人として生きるための文学入門』の目次をチェック
40歳になっても〈凡人のままだった〉すべての大人に捧げられた一冊です
リアル書店の棚に次々と並ぶ新刊はもちろん、中古書店並ぶ誰かが大切にしていた一冊、24時間いつでもすぐに読み始められる電子書籍と、本を入手する方法はさまざまですが、「これを読もう」という決め手が見つけられず、手に取り読み始めることができないなんてこと、ありませんか。自分はあります。 今回は、そんな方のために、2024年3月に刊行された新刊のなかから、独断と偏見で選んだ一冊『40歳から凡人として生きるための文学入門』を紹介します。 さて、本書の帯には気にせずにはいられない惹句が掲げられていました。 40歳になっても〈凡人のままだった〉すべての大人に捧ぐ 「あっ私のことですね」と、40歳を超えた本好きの凡人らしく反応してしまい、捧げられた一冊をそのまま手に取りました。 だって本書には「凡人を自負する文学研究者」による「人生を生きるための知恵」が記されているというのです。ひとまず中身を見ないわけにはいきません。 正直なところ、本を1冊書き上げることのできる人間、しかも「文学研究者」で大学の人文学部教授なる立派な肩書きを持つ人に「凡人」を名乗られても、凡人のなかの凡人であると自負している私は「それは凡人と言えるでしょうか」という感想を抱かずにはいられませんでした。 とはいえ、他者が自分をどう定義するのかについては、口を差し挟むことではないので、いったん「凡人を自負する」著者が何を言おうとしているのか、読み進めることにしましょう。 次ページからは、本書の目次とともに、「クスッ」と笑わずにいられない自称「凡人」の文学研究者の語りを紹介していきます。
ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロの研究者による、滋味深い与太話のような…
●書店に並ぶのは〈非凡な人〉が〈平凡な人〉に向かって書いた本しかない!? 〈凡人〉を自負する著者の森川慎也氏は、書店には一流の著者「非凡な人」が平凡な人に向かって書いた本しかないという事実に気がつき、「凡人による凡人のための本を自分で書こう」と決めた。そう本書を書き上げた経緯について、記しています。 そして、自身の経験に基づき「凡人として生きる術を身につけるには、文学を読むのが一番いい」ときっぱり言い切り、「四十代以上の読者」に向けて、「凡人として生きるための知恵を文学から学び、読者のみなさんに健やかに軽やかに生活してもらうことを願って書いた」といいます。 その森川氏は、英国の作家カズオ・イシグロを研究対象としており、本書の中でも〈非凡〉な作家として第二章を丸々使ってその「面白さ」を紹介してくれます。 カズオ・イシグロは、1989年に『日の名残り』で英国最高峰のブッカー賞を、2017年にノーベル文学賞を受賞した世界文学作家のひとりです。 森川氏は、「今さら彼のことを非凡などというのは滑稽かもしれない」と前置きしつつ、「これまで三十年間読んできた英文学の作家の中で一番面白いと思う作家」「彼は非凡な主人公を凡人に格下げするのが上手い」とも評しています。 これらはほんの一部の抜粋で、本文では絶妙な語り口でカズオ・イシグロについて紹介されており、カズオ・イシグロ好きの方に読んでいただきたい内容となっています。 ●「凡人」を駆使した〈目次〉は、眺めるだけでも楽しいです また、本書は目次を眺めると、「私という「ブレない凡人」」「凡人の不幸―非凡な著作を読んでも非凡になれない」「凡人に分かる人生の無意味さこそ文学の入り口」など、「凡人」を駆使した見出しが並んでいます。 ずっと眺めているだけで、与太話といいますか、滋味深いおしゃべりといいますか、とにかくちょっと面白いので、画像で目次をご紹介しますね。じっくりご覧ください。 六章構成になっている本書ですが、著者自身のまえがきの表現を引きつつ紹介するとおよそ以下のとおりです。 ・一章:〈凡人〉を自負する著者の自己紹介 ・ニ章:冒頭で紹介したノーベル文学賞作家カズオ・イシグロの面白さについて ・三章:著者による面白かった本/面白くなかった本の「読書感想文」 ・四章:文学の授業が退屈にならざるを得ない理由、また凡人の読者が「文学をどう読めばいいのか」について ・五章:著者曰く「センチメンタルなエッセイ」 ・六章:凡人流「誇大妄想的評論」である文化論・文学論