青春18きっぷ“改悪”批判のウラで「現役の駅員」からは安堵の声…「18きっぷの利用者はマナーが悪すぎる」
嫌なことばかり頭に浮かぶので憂鬱
――18きっぷシーズンは、駅員はどんな思いで過ごしているのですか。 S:日付印を捺し間違えないようにしなきゃ! とか、めんどくさい人が来なきゃいいな…など、嫌なことばかり頭に浮かぶので正直、憂鬱な気分です。 ――Sさんの話を聞くと、利用者のモラルの低さを痛感しますね。 S:といいますか、切符の仕組みをよくわからないで使っている人が多すぎるんですよ。例えば、大雨や大雪などの災害時に代行バスが出たとしても、18きっぷはその対象になりません。また、あくまでもJRの路線に限って使える切符(一部例外もあり)なのですが、利用できない第三セクターの路線に入り込んでトラブルになる人が本当に多い。18きっぷの基本ルールを知らないことで、追加料金が発生して、怒る人も多いです。切符が発券されるとき、案内文も渡していますけど、読んでいるんですかね…。いや、絶対、読んでいませんよね(汗)。 ――ネットを見ていると、運転士に話しかけたりする迷惑な利用者もいるようです。 S:知り合いに運転士も多いのですが、ある運転士は鉄道オタクが嫌いなので、18きっぷのシーズンになると「写真を勝手に撮られた!」とか、「こんなウザいことされた!」とか怒っていますね。
18きっぷの廃止はないと思うが…
――18きっぷはシニア向けの旅行雑誌で取り上げられる機会も多く、シニア層の利用が目に付きます。駅員としては、若者と年寄りどっちが多いイメージがありますか。 S:正直、18きっぷは大学生のような若者よりも、お金と時間に余裕が出てきたシニア層や年配の鉄道オタクが使っているイメージのほうが強いですね。純粋に、少子化が進んで、若者が少なくなってきた影響もあるのかもしれませんが。 ――若者向けのフリー切符が少なく、何かと高齢者が優遇されているといわれる鉄道業界。数少ない若者が利用しやすい商品である18きっぷは、これからどうなるのでしょうか。 S:さすがに、すぐに廃止されることはないと思います。ただ、今回の変更点を見るに、とにかく人手が必要な仕組みをなくそうとか、不正利用を防ごうとしているのかな、と感じました。また、JRグループ6社で共通の商品は、作成や取り扱いがめんどくさいと聞きます。上層部としてはそういった商品は極力減らして、各社で完結するような商品作りへシフトしていきたいのかな、といった印象を受けます。 ――確かに、JR東日本や、JR西日本の中だけで利用できるフリー切符は多く見かけますね。 S:そうですね。ただ、そういった切符は他社のエリアに住んでいる人が買いにくいのがネックです。JR東日本のフリー切符は、JR東海のエリアで買えないことがほとんどですから。全国を隈なく旅したい乗り鉄には優しくないなと感じます。 ――SさんはJR社員でありながら乗り鉄だそうですが、今回の18きっぷを実際に使ってみたいと思いますか。 S:今回の改正は本当に驚きました。今までの18きっぷは、利用期間内であれば思い立った日や、ちょっとした空き時間にぶらりと旅に出られるのが良かったんですよ。でも、そのメリットが完全になくなってしまいました。今回から、3日間連続で使用できる仕様の18きっぷも発売されますが、自分は5日間連続で休みを取るのは難しい立場なので、仮に買うとしたら、3日間用ですね。正直、お客さんに勧めづらくなったと感じている社員は多いと思いますよ。 ライター・宮原多可志 デイリー新潮編集部
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