男児がメーク道具、女児が剣や銃に関心…性差薄れるおもちゃ選び 子どもの選択を尊重、自ら考え挑む人間性育む
国や自治体は少子化対策の柱に子育て支援を掲げる。少子化の背景には、ジェンダーギャップ(男女格差)があるとの指摘がある。性別による役割分業意識やイメージの決めつけは、出産や子育てにどう影響するか。鹿児島の今を探った。(連載「子育て平等ですか?かごしまの今」⑥より) 【写真】〈関連〉人形の近くに車のおもちゃが並ぶおもちゃ屋。売り場を性別で分けていない=鹿児島市の丸新玩具中町本店
鹿児島県内に住む朝陽ちゃん(2)は、おままごとや人形、車のおもちゃで遊ぶのが好きだ。母親の紗代さん(34)が「おなかすいた。あーちゃん何か作ってくれる?」と言うと、「いいよ」と慣れた手つきでおもちゃの食材を次々と切ってみせた。 紗代さんは「ごっこ遊びをするようになって、いろいろな言葉を話すようになった」と明かす。おもちゃを買うときは、朝陽ちゃんに欲しいものを選んでもらうようにしている。男児向け、女児向けというイメージは気にしていない。「さまざまなことに興味を持って、やりたいことを増やしてほしい」と優しく朝陽ちゃんの頬をなでた。 □□□ おもちゃ店やメーカーには、性別に関係なく幅広い選択肢を示して子どもの可能性を伸ばそうとする動きがある。 鹿児島市中町の「丸新玩具」は、車のおもちゃの近くに人形が並ぶなど売り場を性別で分けていない。同店の新内あずみさん(27)は「『男の子、女の子のコーナーだから』と遠慮することなく、店の隅々まで見てお気に入りを見つけてもらうため自然とこうなった」と振り返る。
近年、メーク道具セットを選ぶ男児、剣や銃のおもちゃを買う女児が増えてきた。新内さんは「保護者の意識も変わってきたのかもしれない。子どもたちには性別にとらわれず、好きなことを突き詰めてほしい」と話した。 着せ替え人形「バービー」は、起業家やエンジニアなどこれまで250以上の職業が登場。開発するマテル社(米国)は「You can be anything(何にだってなれる)」というメッセージを世界中に発信している。 同社は女児の多くが5歳になると、男児よりも自分の性別や能力に自信をなくし始める「ドリームギャップ」に注目。2018年から、性別による固定観念(ジェンダーバイアス)の解消に向けたプロジェクトを続けている。 日本法人マテル・インターナショナル(東京都)のブランドマネジャー、万澤美恵さんは「幼い子どもだけでなく、進路に悩む学生や大人たちにも『何にだってなれる』と伝えたい」。 □□□