Visa株急落で時価総額「3.6兆円」消失、司法省の独禁法提訴受け
米司法省は9月24日、金融サービス大手のVisa(ビザ)が、米国内のデビットカード決済市場の競争を阻害したとして、同社を反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いでニューヨークの連邦地裁に提訴した。ビザは、米国内のデビットカード取引の約60%を占めていると推定されている。 メリック・ガーランド司法長官は24日の声明で、ビザが優位な立場を利用して「競争市場の水準を大幅に上回る高額な手数料を違法に取り立てている」と主張した。司法長官はまた、「ビザの加盟店や銀行は、そのコストを価格の引き上げや品質やサービスの低下という形で消費者に転嫁している。その結果、同社の違法行為は一つの商品だけでなく、ほぼすべての商品の価格に影響を与えている」と指摘した。 ビザの株価は24日の市場で約5%下落し、約250億ドル(約3兆6000億円)の時価総額を失った。同社はフォーブスのコメント要請に即座に応じなかったが、2021年にデビットカードサービスに関して当局による調査を受けたことを明かしていた。 「ビザは、排他的かつ反競争的な手段を用いて市場の競争から身を守り、デビットカード市場への小規模な競合企業の参入を困難にしている」と、連邦検察官は24日の訴状で主張した。司法省は、ビザが年間70億ドル(約1兆円)の手数料をデビットカードの取引から得ていると述べている。 米国で13番目に価値が高い上場企業であるビザは、取引処理に対する手数料を銀行や加盟店に課すことで利益を上げている。司法省によると、ビザのデビットカード市場における唯一の主要な競合のマスターカードの市場シェアは25%未満という。
Derek Saul