亡くなった親の家を相続することになったのですが、相続税が一括で払えません… 延納など対策はないのでしょうか?
相続税は、原則として、相続の開始のあったことを知った日の翌月から10ヶ月以内に、金銭で一括納付しなければなりません。 一般には、相続対策として納税資金対策をするのですが、突然の相続に対策が間に合わない可能性は十分にあります。 本記事では、相続税が一括で払えないときの対処法について解説します。相続は人ごとではありません。ぜひ最後までお読みください。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
延納を申請する
相続税は原則として、期限までに金銭で一括納付しなければなりません。しかし、それが困難である場合、「延納」をすることができます。延納とは、年賦の方法(年払い)で相続税を納付することをいいます。 ただし、延納を申請するためには以下の要件を全て満たす必要があります。 ・相続税額が10万円を超えること ・金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること ・延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること(※) ・延納申請期限までに、延納申請書(担保提供関係書類を添付)を税務署長に提出すること (※)延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はない ここでのポイントは、担保を提供する必要があることと、期限内に延納申請書・担保提供関係書類を税務署長に提出する必要があることです。なお、提供する担保は、相続により取得した財産である必要はなく、相続人所有の財産などであっても構いません。 延納をする際の注意点としては、延納期間中は利子税の納付が必要となるということです。延納できる期間と延納にかかる利子税の割合は、その方の相続税額の基礎となった財産の価額の合計額に占める、不動産などの価額の割合によって異なります。
物納を申請する
延納によっても金銭で納付することが困難である場合、「物納」をすることができます。物納とは、相続財産により相続税を納付することをいいます。ただし、物納を申請するためには以下の要件を全て満たす必要があります。 ・延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること ・物納申請財産は、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、日本国内に所在する予定の財産であること ・物納に充てることができる財産は、物納に不適格な財産に該当しないものであること、および、物納劣後財産に該当する場合には他に物納に充てるべき適当な財産がないこと ・物納申請期限までに、物納申請書(物納手続関係書類を添付)を税務署長に提出すること ここでのポイントは、物納に充てることができる財産にも条件があることと、期限内に物納申請書・物納手続関係書類を税務署長に提出する必要があることです。 また、相続時精算課税制度を適用して取得した財産や、非上場株式の納税猶予を適用している財産は、物納の対象とすることができませんので注意が必要です。