『おむすび』根本ノンジは“平成”をどう描ききる? 単純に見えて複雑で濃密な細部の数々
『おむすび』第5週でついに描かれる神戸の“あの日”
東京から戻ってきた歩は髪の毛は黒く服装も地味で「伝説のギャル」という言葉から想像していた明るい印象とは真逆だった。 歩が帰ってきたと知ったハギャレンのメンバーは喜び、歩の元を訪ねるのだが、歩はギャルたちに辛辣で「ギャルとかもうやめなよ。超ダサいから。あとそのハギャレンって、死ぬほど恥ずいから、とっとと潰しちゃいなよ」と言う。 一番否定されたくない人にダサいと言われたギャルたちは傷つき、ハギャレンを解散しようと考えるが、結に「ハギャレンはみんなのものだ」「ギャルはダサくない」「ハギャレンはダサくなんてない」と言われて奮起し、糸島フェスティバルでパラパラショーを披露する。 解散の危機を乗り越えてライブに向かう第4週は、一気に盛り上がるアゲアゲの展開となったが、並行して描かれた神戸の過去も印象深かった。 当時は結と歩は仲が良かったが、何がきっかけで二人は変わってしまったのか? 現在と並行して過去は描かれ、震災が起こる数日前で中断している。 第4週の最後は、結が「1995年1月17日」と阪神淡路大震災が起きた日を口にして次週に続くとなった。第5週の予告を観る限り、正面から震災を描き、今まで伏せられてきた結や歩の内面に深く踏み込んでいく内容となるのだろう。 単純そうに見えて実は複雑で細部の密度が濃密というのが『おむすび』の印象だが、この独自の語り口を用いて、根本ノンジは過去となった平成をどこまで描いてくれるのか? 今後の展開が楽しみである。
成馬零一