韓国軍合同参謀本部、宇宙・サイバー担当「多領域作戦部」新設へ…韓米日連携強化
北朝鮮の核・ミサイル高度化と進化する戦場環境に対応し、韓国軍の合同参謀本部が大々的な組織改編を予告した。 国防部は21日、合同参謀本部戦略本部の傘下に「多領域作戦部」を新設することを骨子とする職制改編案(大統領令)を立法予告した。国防部の関係者は改編の趣旨について「戦場の領域が拡張され、認知的レベルの作戦が重要になった点を考慮した」と明らかにした。 軍当局によると、多領域作戦部は軍事的・非軍事的手段を混ぜた「ハイブリッド戦争」担当組織になるとみられる。従来の作戦本部傘下の心理戦、情報・サイバー作戦担当組織が多領域作戦部の傘下に移管されるからだ。 すでに非物理的軍事作戦である認知戦はウクライナ・ロシア戦争とイスラエル・ハマス戦争で威力を発揮した。多様な手段を動員して敵の指揮部の非合理的な決定を誘導し、国際社会の追加の軍事支援を遮断する作戦を含む。実行の主体と意図をあいまいにする場合も多い。 多領域作戦部はさらに宇宙・電磁気領域などでの作戦も担当する見通しだ。これに先立ち国防部は昨年発表した「国防革新4.0」基本計画で、多領域作戦の遂行能力を強化すると明らかにした。 今回の職制改編案には従来の戦略企画本部を「戦略本部」とし、軍事支援本部は「戦力本部」とする名称・機能変更も含まれた。作戦本部は変動なく軍事力運用任務を担当する。民軍作戦と戒厳業務、海外派遣戦闘部隊運営機能は戦力本部から作戦本部に移す。 ◆韓米日多領域訓練「フリーダムエッジ」強化の側面も 軍当局によると、韓米日がキャンプデービッド合意に基づいて今年から実施している3カ国軍事訓練「フリーダムエッジ」も、こうした多領域作戦を実際の訓練として具現するのに焦点が置かれている。今回の職制改編は時期的に米政権交代期を控えて、韓米日間で合意した軍事協力を確実に履行するための側面もあるということだ。 地上戦力に海上・航空・宇宙戦力などを統合する多領域(multi-domain)作戦は当初、米国が中国・ロシアの海上接近阻止・領域拒否(A2AD)戦略に対抗するために考案した概念だ。最近ウクライナ戦争でロシアの西側人工衛星打撃の脅威が強まるなど、技術の発展に合わせて実戦的な対応が必要だという指摘が出ていた。 一方、韓米日空軍トップも21日、初のテレビ会議を開き、今後3カ国の空中訓練を拡大することにしたと、空軍が明らかにした。韓国の李英秀(イ・ヨンス)空軍参謀総長、米国のデビッド・アルビン米空軍参謀総長、日本の内倉浩昭航空幕僚長が参加した。3カ国が空軍参謀総長級の会議を開いたのは今回が初めてだった。 これも米国の政権交代変数と関係なく3カ国間の定例的な訓練基調をそのまま継続するという意志を確認したものと解釈される。 ◆ASEAN国防相会議は韓日だけ、韓米は省略 こうした中、21日のASEAN(東南アジア諸国連合)拡大国防相会議(ADMMプラス)では韓日国防相会談だけが行われた。金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官はASEAN側の要請によりこの日、「日帰り」の会談日程を消化したが、日本の中谷元防衛相とは2国間会談をし、オースティン米国防長官とは別途の会談をしなかった。 これは韓米が先月末に米ワシントンで韓米国防相会談などをした影響もあるが、米政権交代期の韓米間の微妙な雰囲気を反映したのではという解釈もある。ウクライナの戦場が時々刻々と変化する状況で略式会談も行われなかったのは理解しがたいという反応もあるからだ。 これは次期米政権の立場も考慮すべき韓国政府の慎重な態度とも関係があると解釈される。ウクライナの状況に関連して韓米は情報判断を一致させる一方、これに関する対外メッセージ発信、軍事的対応などでは可能なかぎり摩擦が生じないよう管理してきた。こうした中、政府はバイデン米政権の遺産を継続しながら、次期トランプ政権の安保政策変化を無視することができない状況だ。 バイデン政権はウクライナに対人地雷追加支援を公式確認し、非公式的に戦術地対地ミサイルATACMS(エイタクムス)でロシア本土を攻撃するのを容認した。特にロシアのクルスク州にATACMS打撃を容認したのは、北朝鮮軍の変数を遮断するためという分析が出ている。