グリーンランド・パナマ…トランプ氏の領土野心、その背後には中国の影(2)
◇「トランプの『MAGA』は米国唯一主義」 トランプ氏はすでに2019年にグリーンランド購入意思を明らかにし、ホワイトハウスには特別チームまで組織された。 ただしトランプ氏は当時「グリーンランド購入は本質的に大規模不動産取引」とし、金銭的利益を前面に出した反面、今度は「自由世界の国家安保」を名分に掲げた。しかし、トランプ氏の「グリーンランド挑発」の目的は根本的にレアアース(希土類)など中国に依存している資源と温暖化を通じて確保される北極航路など経済的利権と関連があるという分析が支配的だ。 これに関連して、NYTは「トランプ氏が掲げた『孤立主義』は単なる『米国第一主義(America First)』で定義されない」とし「トランプ氏は領土拡張を積極的に行う不動産開発業者のように米国の外交政策に臨んでいる」と分析した。トランプ氏の「MAGA」は国際紛争に介入しない伝統的孤立主義ではなく利権確保のための「米国唯一主義(America Only)」に近いという意味だ。 特にトランプ氏の拡張政策の焦点は米国を中心にした西半球での影響力拡大に合わされる可能性があるという分析もある。韓国成均館(ソンギュングァン)大学のチャ・テソ教授は「トランプ氏の発言は外部に不介入する孤立主義の傾向は見せつつも、西半球ではむしろ拡張を試みる可能性がある」とし「戦略の核心は該当地域で競争国である中国の影響力を縮小することに合わされるだろう」と展望した。 トランプ氏は実際、この日の会見で「中国がパナマ運河を運営している」と主張し、グリーンランドに対しては「中国の船が四方にある状況を放置しない」と言及した。パナマ運河は太平洋と大西洋を最短距離でむすび、グリーンランドは今後開拓される北極航路の中心地だ。 これに関連し、トランプ第1期政権時に大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたロバート・オブライエン氏は「グリーンランドは北極と北米をつなぐ高速道路」とし「温暖化で北極海が活性化すればパナマ運河の依存を大きく減らすことができる戦略的要衝地となる」と話した。結局、トランプ氏は現在と未来の物流および安全保障の中心地として中国の拡張を抑制するという戦略を立てた可能性があるということだ。 ◇カナダには「経済で圧迫」…「韓国、積極的取引が必要」 トランプ氏はカナダに対しては軍事力ではなく「経済的な力」を使うと宣言した。カナダが米国の州の一つになるべきだと主張した理由には「米国がカナダを保護するために数千億ドルを支出している」という費用の問題を挙げた。また、メキシコについては「メキシコ湾」の名称を「アメリカ湾」に変更すると話した。トランプ氏はすでにこれら2カ国に25%の関税賦課方針を明らかにした状態だ。 トランプ氏は欧州同盟に対しても「米国が3500億ドル(約55兆円)の赤字であるにも関わらず(欧州は)米国の自動車と農産物を買わない」と批判した。あわせてNATO加盟国の防衛費負担基準を既に提示した国内総生産(GDP)の2%ではなく「5%とすべき」と要求した。 自国の利益の前に同盟の価値を無視するトランプ氏の戦略で韓国だけが例外になる可能性は低い。韓国の専門家は「そうであればあるほどトランプ氏と積極的な取引をしなければならない」と指摘する。 梨花(イファ)女子大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「トランプ氏は韓国が防衛費をもっと負担して、対中圧迫に出ることを期待している」とし「かえって防衛費を引き上げる代わりに韓半島(朝鮮半島)に対する戦略資産の常時循環配置など確実な反対給付を得るのが賢明」と指摘した。高麗(コリョ)大学のカン・ソンジン教授は「米国産エネルギー輸入を増やす代わりに防衛費分担金引き上げが韓国の雇用創出などにつながる構造を貫徹するのも望ましい」と話した。