「掲示場をジャックせよ」 都知事選候補者乱立の陰で掲示枠「販売」に波紋
都選挙管理委員会には21日までに「同一のポスターが貼られているのは何なのか」などとする苦情や問い合わせが千件以上寄せられた。
また、大量擁立で候補者数が増え、1カ所の掲示場に貼れる最大数48を超えたため、都選管は候補者にクリアファイルを支給し、個別に増設を要請する対応を迫られた。
都内のある区選管関係者は「税金で運営される以上、疑問は感じる。ただ、違反がなければ取り締まるのは現実的に難しい」と漏らした。
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■「広告収入制限など事業者側の規制必要」
白鳥浩・法政大大学院教授の話
行政の長を決める真摯(しんし)な選択の場である選挙をビジネスにすることは、日本の民主主義自体を空洞化させ、政治不信を助長させる。
今回の「掲示板ジャック」は、供託金を没収されても掲示板を全部売れば収入が大きく上回り、ポスターを貼る様子を動画投稿するなど、選挙をビジネスモデルとして確立しようとする狙いがあると考えられる。
現行の公選法はインターネットがない時代に作られた法律で、ビジネスに利用される事態は想定されておらず、掲示板の内容は表現の自由の範囲であれば法的には問題ない。制限することも検閲にあたるので難しい。
動画投稿サイトなどを使って広告収入を得ることと、選挙で政策を訴えることは切り分ける必要がある。
選挙期間中の候補者や、候補者が属する陣営が出すコンテンツなどに対し、事業者側が広告収入を制限するなどの規制が必要だ。