うつ病・統合失調症・不眠症を抱え、職歴は風俗のみ。アラサー女性が社会復帰を目指した就活の記録漫画に応援の声多数!【作者に聞く】
うつ病と統合失調症、不眠症を抱え、仕事の経験は風俗のみ。そんなアラサー女性が一般企業への就職を目指す様子を描いた「ゼロから始める社会復帰生活」。Xに仕事や日常漫画を投稿しているあさり(@asarinchi55)さんが、自身の就職活動を記録した漫画だ。「どうやって就活したらいいんだ?」から始まり、「やりたいことがわからない」など、悩みながらも少しずつ前に進むあさりさんに、応援の声が続々と寄せられている。今回はあさりさんにも就活で不安だったことや、利用した支援サービスなどについて聞いた。 【漫画】夜職を辞めたい――社会復帰のためハローワークへ ■夜職を辞めて社会復帰したい。初めての就職活動に挑戦するアラサー女性の活動記録 21歳でうつ病を発症してから長期間働くことができず、26歳のときに職歴がなくてもなれる風俗嬢となったあさりさん。しかし、4年ほど続けたところで心身ともに限界に。パートナーのサケくんの励ましもあり、夜職を辞めて社会復帰を目指すことを決意する。 ■自分のやりたいことって何だろう?仕事を辞めてお金の不安も... 右も左もわからないところから始まったあさりさんの就活。まずはハローワークに行ってみるも、病気のことや前職についてなど不安は尽きない。特に不安に感じていたことについて聞いた。 「今まで就職したことが一度もないので、空白期間は特に不安に感じていました。空白期間について聞かれたら何と答えればいいのだろうとずっと考えていました」 「就職できるならどんな仕事でも!」と焦るあさりさんに、ハローワークの担当者は「やりたいことを明確にするのが第一」とアドバイス。しかし、やりたいことがわからず深みにはまってしまったり、さらには収入がなくなったことでお金の問題にぶつかり挫折しそうになったり。先が見えない中、相談できる相手がいることがあさりさんの支えになったそう。 「パートナーの存在は大きかったです。良い意味でも悪い意味でも『なんとかなるよ』という考え方の人なので、私もそういう気持ちで構えることができました」 ■無事に就職先が決定!「社会に認められたようでうれしくて、とても楽しく働いています」 うつ病や統合失調症のあるあさりさんは、「就労移行支援施設」へ通うことを決める。障がいのある人たちが働くためのスキルを身に付けたり、適正にあった職場探しの支援を受けたりすることができる場所だ。あさりさんはどのようなサポートのもと、就職活動を進めていったのだろうか。利用した感想についても聞いた。 「障がい者と健常者は履歴書の書き方が違うので、まずはそこから教わりました。就労移行支援のスタッフさんは障がいに理解があるので心身のことを包み隠さず相談することができてよかったです」 あさりさんは生活費などを考慮し、頻度を減らして夜職もしながら就職活動していく選択をしている。就労移行支援施設に通う条件とは異なるが、特例で認められることができた。そして先日、障がい者雇用を利用し、無事に就職先が決まって働き始めたそう。どんな仕事を始めたのだろうか。新しいスタートを切った現在の心境も教えてくれた。 「生活困窮者に住居をサポートする不動産業で働いています。自分が社会に認められたようでうれしくて、とても楽しく働いています」 社会的にマイナスに捉えられる自身の人生を「崖っぷち日記」として明るいタッチで発信してきたあさりさん。新たな挑戦をする自身のリアルな姿を発信する漫画には、多くの応援の声に加え、「やりたいことを見つけるの難しいですよね」といった共感の声も。漫画への反響についてはどう感じているのだろうか。 「漫画を描く前の私はひとりでどうしたらいいか悩む日々でしたが、漫画を描きだしてからは皆さんのコメントにいつも励まされていました。こんな自分でも普通の仕事に就いて、普通に生きていいんだよと言われているようで、とてもうれしかったです」 新しい環境で忙しくも充実した毎日を送っているあさりさん。今後について「同じように障がいを抱えている人、性産業に関わっている人に私のこれからの人生を漫画で伝えていきたいです。ひとまずは仕事を辞めないことですね」と目標を掲げている。 あさりさんは就職後のエピソードについてもXで発信中。着実に前進しているあさりさんのこれからの日々を応援したい。 取材・文=松原明子