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父子で臨む一度きりの甲子園 星稜・親子鷹が特別な思い胸にセンバツ交流試合へ

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 兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催中の2020年甲子園高校野球交流試合に、特別な思いで臨む選手がいる。昨夏の甲子園で準優勝した石川・星稜高の林大陸(りく)二塁手(3年)だ。今春センバツでベンチ入りし、初めて父の林和成監督(45)と一緒に甲子園出場を果たすはずだったが、新型コロナウイルスの影響で大会は中止になった。夏の全国選手権もなくなり、交流試合が父子で甲子園の土を踏む唯一の機会。大陸選手は「父を日本一の監督にする夢はかなわなかったが、最後は勝って終わりたい」と誓う。  林監督の長男である大陸選手は「物心ついた時から星稜の黄色いユニホームが自宅にあった。星稜で野球をするのは運命でした」と笑う。父が監督として初めて甲子園に出場した13年夏、小学生だった自らも聖地を訪れた。サインを出し、腕を組み戦況を見守る父の姿がまぶしかった。その時、「星稜で父の指導を受ける」と決めたという。  しかし、林監督がためらった。自らも星稜OBで、1学年上の松井秀喜さん(元米ヤンキース)と三遊間を組み、甲子園に春夏計3回出場。「周りから『監督の息子』と見られるし、昔の私とも比べられる。本人がつらい思いをする」と息子をおもんぱかった。それでも大陸選手は「日本一になるには星稜に行くことが一番の選択肢」と父の反対を押し切り、中高一貫の星稜中に入学。軟式野球の強豪でもある同校で腕を磨き、高校に進んだ。  自宅では「お父さん」と呼び親しく話すが、グラウンドに出れば「林先生」だ。自主練習の相手を「お願いします」と頼み込むこともある。練習場所は自宅近くの公園。高校で外野手から内野手に転向した大陸選手にとって、堅守の遊撃手で鳴らした父は最良の師だ。登校前の朝練習が日課で、ノックを受けながらグラブさばきやフットワークを教わった。その成果が実り、昨秋からベンチ入りを果たした。  今春、新型コロナの影響で休校となり、野球部の活動も約2カ月休止した。だがその分、自主練習に付き合ってもらう時間が増えた。父子で過ごす「最後の夏」を前に、「一分一秒たりとも無駄にしたくなかった。みっちり練習できた」と充実した時間を過ごした。  大陸選手にとって、グラウンドでは父もチームメートも自分を特別扱いしないことが、何よりうれしかった。「仲間が一人の人間として見てくれる。周りに恵まれた」。チーム内で「父子鷹(おやこだか)」は格好の話題だ。顔つきが似てきた大陸選手が監督の話し方をまねると、周囲は笑いに包まれる。明るい性格を買われて副将を任され、試合では三塁コーチも務める。星稜中からチームメートの内山壮真主将(3年)は「チームをいつも一番に考えている」と信頼を寄せる。  交流試合に向けて、林監督が「息子がいるからと特別な思いはない。チームの勝利のために力を尽くしてほしい」と語れば、大陸選手も「副将の役割は声を出してチームの雰囲気を良くすること。最高の仲間、監督とともにチームをまとめたい」とひかえめに話す。闘志を胸に秘め、実直に語る姿はうり二つだ。父子が甲子園で過ごす、一度きりの夏。15日午前10時から、昨夏の全国選手権決勝で敗れた履正社(大阪)と対戦する。【石川裕士】

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