「気象庁で初めてのこと」津波観測装置の復旧に奔走した気象庁職員たち 雪のなか岸壁に穴開け【能登半島地震から1年】
1週間後の復旧…本音は
観測データを待っていた成澤調査官は「本当によくやった」という思いだった。 九谷氏たちも「やっと能登半島の状況がわかるようになる、次に来るかもしれない地震に備える事が出来る」と安堵した。 1週間経っての津波観測装置の復旧は、早いのか遅いのか本音を聞いた。 「能登半島北部が見えない状況が長かった。再び地震が襲う可能性もあった。もう少し早く復旧させたかったが、能登半島へのアクセス、隆起という特殊な状況が困難さを増した。これで学んだことは大きいため、これを生かし次あればもう少し早く復旧させたい。ただし、2度目の挑戦で観測を再開出来たというのは、よかったとも考えている」 その後、珠洲市でも2月8日に、機動型の観測装置を設置し観測を再開した。 現在も輪島と珠洲は、機動型の観測装置で津波観測を行っているが、これは仮設置のため本設置も検討しているとのことだ。
機動型の津波観測装置を更新へ
気象庁は、津波データの重要性はより一層高まっているとして、現在輪島や珠洲に設置されている機動型の津波観測装置を2025年に7台更新し全国の気象台に配備する予定だ。 観測出来なくなれば、すぐ装置を設置し津波観測を続ける体制を強化していくとしている。 能登半島地震から1年が経ち、改めて九谷氏に地震について聞いた。 九谷氏は、少しでも早い復興を願っているとした上で「地震の規模などから、観測が途切れるのは仕方がない部分もあると思う。しかし、情報を必要としている人たちがいるため、少しでも早く復旧させる、それに尽きると思う。それが気象庁職員の役目だと再確認できた」と話す。 普段から意識はしていたが、津波観測の継続が、より命を守ることにつながっていることを改めて実感したという。 【取材・執筆:フジテレビ社会部 小堀孝政】
社会部,小堀 孝政