競馬で1,300万円当たった34歳夫のもとへ「税務調査」がやってきて…「多額の追徴課税」に妻、激怒【税理士が解説】
はずれ馬券もあるから実際儲けてはいないのに…
Aさんは、調査官にとんでもない追徴課税を言い渡されます。 いきなり、ドンと入ってきた競馬の利益。嬉しくていろいろな使い道を考えては、使ってしまってきたので、大金はAさんの手元には残っていませんでした。 Aさんの主張は以下。 確かにそのときは大当たりしたけれど、Aさんは競馬ファンで時間があれば競馬を楽しんでいたため、馬券もそのたびに購入していました。ですから、はずれ馬券も合計すると、大当たりした金額とほぼ変わらないくらいの馬券の購入金額になっていました。以前にニュースではずれ馬券も経費になるという話を聞いたこともあったので、その分も経費として申告をしていたのです。 具体的に計算にしてみると、 Aさんの当初の申告 年間の競馬の払戻金 1,300万円 当たり馬券の購入金額 40万円 はずれ馬券の購入金額 1,400万円 となり、Aさんの計算では税金はかからないという考えでした。 しかし、正しい計算は以下になります。 (競馬の払戻金1,300万円-当たり馬券の購入金額40万円-特別控除額50万円)×1/2=605万円 なんと605万円が課税対象となります。追徴課税は約200万円にもなってしまいました。 はずれ馬券を経費にできるのは、よほど稀な事例で、熱狂的な競馬ファンであるAさんにも当てはまらないほどに日々大量に馬券をソフトを使って購入するなどの普通では該当しないようなケースになります。 そのようなケースに当てはまるときは雑所得として取り扱われ、はずれ馬券も経費として認められるという判例もあります。この雑所得とは、所得税の分類がいくつかあるなかで、そのいずれにも当てはまらないものが雑所得になるという位置づけです。 よくある例としては年金や副業の収入が該当します。あくまでも営利目的で継続的に行っているかどうかというところがポイントになるので、これが認められるのはなかなか難しいので、普通は一時所得になるという認識になります。
妻にもバレて…
Aさんは妻にこっそり隠れて競馬をしていたこともあり、税務調査でついにバレてしまい、さらに、夫婦で貯めてきた住宅の購入資金から工面することとなり、妻には激怒されてしまいました。 せっかくのサプライズ旅行も、後味の悪い結果になってしまい、涙するAさんでした。 繰り返しになりますが、競馬で出た利益は原則、一時所得です。ときどきであればあまり問題になりませんが、頻繁に競馬をする方はAさんのようなにならないためにも一度お近くの税理士に相談してみてはいかがでしょうか。 木戸 真智子 税理士事務所エールパートナー 税理士/行政書士/ファイナンシャルプランナー
木戸 真智子
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