[ヒロシさん]芸人として売れていたのに、テレビに背を向けたワケ…「ソロキャンプ」は流行語大賞に
駄目だったら逃げればいい
――売れていたのに、テレビに出なくなりました。 やはりあの世界は特殊なんです。子どもの頃から何となく信じていた正義だとか「努力は報われる」だとかが関係ない世界。そこで、折り合ったり渡り合ったりしていかないといけないのが、ずっときつかった。僕は他人とつるむのが苦手だから、芸人の仲間もできない。偉い人におべっかも使えない。ネタさえ面白ければ芸人と認められると信じてたんですけど、ネタが受けても、「一発屋」とバカにされる。僕はストレス耐性がないので、安定的にテレビに出続けるタレントとしてのふるまいを考えるのもつらかったし、どう自分を保つのか、忙しさや重圧にも耐えられなくて、自分がみじめになる環境から逃げようと思ったんです。ネタが受けても一発屋としてしか認められないという何年間かを過ごして、テレビに出るのはやめようって。 ――顔が売れていましたから、「一般人」に戻るのは大変だったのでは? 確かにいったん顔が知れると引っ込みがつかないんで、白塗りとか、お面をかぶって出るようなキャラクターになっておけばよかったなって思ったことはあります。でも、僕は「駄目だったら逃げればいい」という考えなんで、日本にいる限りはこの顔で稼ぐだけ稼いで、その後は僕のことを誰も知らない外国にでも行けばいいかなと思っていました。ただ、テレビに出なくなると収入がなくなるし、次に何しようかといろいろなことをやって、たまたまソロキャンプが当たったというわけです。僕は細かいことですごく運が悪いんだけど、大きな波ではすごく運がいいんだと思います。 ――それは最高じゃないですか。 いや、最高じゃないですよ。だって、細かいことはすんごく運が悪いんだから。 ――例えばどんなことで運が悪いのですか? 自動販売機のボタンを押してもジュースが出てこないとか。で、そこに書いてある電話番号に電話をしてみても誰も出ないとか。そういうことが繰り返しあるわけですよ。でも、大きな流れでは、結局キャンプのネタで売れてるしね。まさかまさかです。単純に好きでやっていただけだけど、こんなにソロキャンプがはやるとは思わなかったですね。