[ヒロシさん]芸人として売れていたのに、テレビに背を向けたワケ…「ソロキャンプ」は流行語大賞に
いじめられて「見返したい」
――「ヒロシです。」のネタで芸人として大ブレイクしましたが、芸人も興味があることのひとつだったんですか? 芸人だけは違いますね。興味があったというより、芸人で食べていけるようになるというのが、自分の中でずっと目標でした。興味があることは何でもやろうとなったのは、芸人として売れた後です。 ――芸人を目指したのは、どういった理由からだったのでしょうか。 ぼくは熊本出身で、子どもの頃から友達もいなくて、いじめられていました。だから、いつか見返してやりたいと思っていた。当時の田舎の子どもにとって、テレビはあこがれの場所です。もちろんお笑いも好きだったけど、見返したいという気持ちの方が圧倒的に強かった。故郷では、お笑いのライブに出られるようになっても「有名人」とはみなされないので、テレビで売れるという一点を狙っていました。 ところが、芸能事務所に入ったら、テレビで見ていたときは「ふーん」と思うくらいだった先輩芸人さんの生の舞台がすごくおもしろくて、途中から、(自分は)売れるわけないと分かってきた。でも、親にも先生にも反対されて故郷を出てきたから、引っ込みがつかなくてね。帰ったら負けじゃないですか。「おまえはつまらないやつなんだな」「失敗して帰ってきたんだな」って言われるのが嫌だから、意地で続けていました。全国から「自分は面白い」と自信を持った若手がいっぱい東京に集まっているわけで、その中で勝つなんて無理なのにね。 ――いやいや、大ブレイクされましたよね? 奇跡ですね。テレビに出て世の中に認知され始めたら、僕をいじめた人たちを見返せると思ってたんですけど、ブレイクしているときって自分が売れていることがあまりよく分からないんです。確かに田舎に帰れば色紙が山積みになっていて、近所の人からもサインを頼まれるけど、逆にそれが日常になっちゃって。「ヨッシャー! 今が最高潮だ!」というタイミングが分からない。 そもそも、売れるのだって突然、爆発したわけじゃないんです。世の中的にはボンと突然売れたイメージでしょうけど、自分の中では下積みがあって、気持ち的にはだんだん上がっていった感じなんですよ。まずお笑いライブで受け始めて、テレビに出てネタを披露して。でも、1回きりで終わるかもしれないから油断できない。「売れてきたね」と先輩から言われても、「いやいや、まだ売れていない」と思っていました。常に「今に足元をすくわれる」ってね。仕事は忙しいし観客もたくさん集まって、最初はすげえなと思うんですけど、それが毎日ですから、そのうち慣れてくる。まひするんですよ。