Bリーグ初優勝の広島を支えた“信じる力”「琉球のリズムを崩すしか…」史上最少失点の堅守で下克上
■ 新記録を作った堅守「正直、何をしているかわからない(笑)」
コート上で勝利を手繰り寄せる鍵となったのは“ディフェンス”だった。ファイナル第1戦に62-74で敗れてから、失点は右肩下がりで減少。優勝を決めた第3戦の50失点は、ファイナル最少失点の新記録となった。 ミリングHCは「正直、私自身もどんなディフェンスをしているかわからないときがある」と苦笑しつつ、「はっきり一言で言うのであれば、ゾーンのマッチアップディフェンス。チリ(河田チリジ)がいるときにスイッチディフェンスをしています。今日だけじゃなくシーズンを通してやってきたけど、やっているうちに精度が上がっていきました」と、勝因の一つとなった策を説明。続けて、「琉球さんは素晴らしいチームで、文句のつけようがない本当に能力の高い素晴らしいチーム。どうやって勝つか試行錯誤して考えた結果、相手のリズムを崩すしかないのかなと思った。琉球が素晴らしいチームだからこそ、こういったディフェンスが考え抜かれ、その精度が高くなったのかなと思う」と、好敵手の存在がチーム力向上の要因の一つになったとも語った。 実際にコート上で守る山崎は、「コーチが言ったように何をしているかわからないときもある(笑)。でも、それってみんながコート上で喋って、『それぞれがヘルプしあえ』ということがあるから成立していること。それができるようになったのも河田選手が入ってビッグラインナップを敷けるようになったから」と、昨年10月に帰化選手枠となったビッグマンの存在の大きさにも言及した。 今シーズンの広島は、3月最初の2連戦を終えた時点で21勝20敗だったが、順位争いが佳境に入る第25節以降は15勝4敗。一度も連敗を喫することなくCSに乗り込み、頂点まで駆け上がった。 「(スイッチディフェンスを)やり始めた頃はハマっていなかったと思いますけど、シーズン終盤にかけて『守れるな』という感覚があった。もちろんレギュラーラインナップのマンツーマンディフェンスでも自信を持っていますけど、ビッグラインナップの特殊なディフェンスも僕は自信を持ってやっています」と山崎。 布陣を活かす最善の策を練ったコーチングスタッフも、授けられた策を遂行し続けた選手も、描いた勝ち筋を信じぬき手にした初優勝だった。
BASKETBALL KING