源氏物語ゆかりの古刹 兵庫・明石「善楽寺」 平清盛が再興 約1400年の歴史と受け継がれる想い
兵庫県明石市にある「善楽寺」は、戒光院と円珠院の2院からなるお寺です。その歴史は明石市内最古とされ、平安時代末期には17か院が存在したといわれています。 【写真多数】兵庫・明石「善楽寺」の境内 『源氏物語』ゆかりの碑や松、平清盛の供養塔など 「大化年中645年頃、インドの法道仙人が開創したと伝わっています」と説明するのは、藤井住職です。もちろん飛行機も新幹線もなかった時代、交通手段と言えば船でした。その船が行き交う明石の海は、当時とても重要視されていたといいます。 善楽寺の中でも戒光院は、平清盛ゆかりの寺です。今から900年ほど前の1119(元永2)年、戒光院は火災により堂塔を焼失しましたが、それから37年のちの1156(保元 元)年、播磨守に任じられ、この地を重視した平清盛が善楽寺のすべての堂塔伽藍を再興。念持仏であった木造の地蔵尊と寺領五百石を寄進しました。 そして清盛の死後、甥で僧だった忠快法印(ちゅうかいほういん)が清盛の死をいたみ、巨大な五輪塔を建立しました。現存するこの「平清盛の供養塔」は、明石市の文化財に指定されています。 時は移り江戸時代、第5代明石城主となったのが松平忠国です。忠国は『源氏物語』をこよなく愛したとして知られています。物語を思い起こしながら、歴史を重ねた美しい寺である戒光院を「明石の巻」に登場する“明石の入道”の住まいに見立て、「いにしへの 名のみ残りて 有明の あかしの上の おや住みしあと」との歌を詠み、碑を建立しました。戒光院には「明石入道の碑」や「光源氏古跡明石之浦之浜之松の碑」があり、物語の場面に想いをはせながら楽しむことができます。 藤井住職は「幾度か火災や戦争に遭ったことにより、残された資料は少ないのですが、清盛が愛し、一所懸命に大切にされてきたこのお寺の歴史を、これからも守っていきたい」と語りました。 (取材・文=洲崎春花) ※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』2024年9月22日放送回より
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