子どもたちがイメージふくらませた「笛吹男」 次々に新しいシーンも生まれ… 地元の人とつくる“新しい昔ばなし”が絵本に 熊本・津奈木町
日テレNEWS
熊本県津奈木町を舞台につくられた「新しい昔ばなし」。熊本出身のアーティストと地元の人とが一緒につくった物語が、絵本に生まれ変わりました。絵本をさらに楽しむワークショップを、くまもと県民テレビが取材しました。 ◇◇◇ ──むかし、むかし、あるところに村がありました。ある年、その村に多くのネズミが出ました。そんなとき、不思議な音色の笛を持った男が村に現れました。 「つなぎまちと130人のこどもたち」は、津奈木町が舞台の絵本です。絵本をつくった熊本市出身の山本太郎さんは、日本画の技法を取り入れた作品を手掛けるアーティストです。 山本太郎さん 「絵本という形になることで多くの人により長く楽しんでいただけると思うので、今回、絵本にできて、すごくうれしいです」 絵本につづられているのは、津奈木町の住民と一緒につくった「新しい昔ばなし」。地元のお年寄りから小さい頃の実体験を聞き取り、オリジナルの物語をつくりました。 キャラクターを考えたのは、子どもたちです。「不思議な男」という言葉からイメージをふくらませ、「笛吹男」が生まれました。 ◇◇◇ この日、太郎さんが開いたのは、絵本を楽しむワークショップです。ただ絵本を読むわけではありません。 山本太郎さん 「中の絵をきょうは見せません。物語を読むので、それを聞いたうえで、みなさんに自由に絵にしてもらいたい」 ──むかし、むかし、あるところに病気が流行ったり戦が起こったりするような村がありました。その村にひときわ大きな体をして力が強い、伍太夫どんと呼ばれる男の子がいました。 物語を聞いた子どもたちは、自分たちの発想力で物語を思う存分に表現します。 山本太郎さん「伍太夫どんか、力持ちな感じに今からしていくんだね」「クジラがいたり、ネコと人間は船に乗っているんだ」 山本太郎さん 「昔話を自分のものにしてほしいという思いがあって、おそらく物語を聞いたときに、聞いた人一人ひとりに浮かぶ情景が違う。それぞれ一人ひとりの物語にしてほしい」 絵本の挿絵にとどまらず、子どもたちの発想で次々に新しいシーンが生まれました。 子ども 「笛だけで動物とか130人の子どもがついてくるのは不思議だと思って、その笛に魔法でもかかっているのかなと思ってこの話を描きました」 子ども 「(Q:何を描いた?)笛吹男の絵。ここら辺が海で、ネズミが溺れているの」 母親 「自分で想像して表現したり、好きなことを追求していってほしい」 ◇◇◇ 太郎さんは、自分の思いをカタチにすることの大切さをアーティストとして伝えていきます。 山本太郎さん 「子どもたちの発想力はすごいので、この話を聞いてこんな絵になるんだみたいな絵がたくさん出てくるので、僕自身、ワークショップを楽しんでやっています。自分の思いをカタチにしてみることはクリエイティブの第一歩なので、小さな頃から味わうことで、大人になっても人生を豊かに生きていけると思う」 津奈木町で生まれた新しい昔話。絵本へとカタチを変え、一人ひとりの物語へ……。これから、多くの人のもとに届いていきます。