斎藤前兵庫県知事はパワハラしていない? 職員の4割が見聞き、本人は厳しい叱責など認めて「必要な指導」【ファクトチェック】
斎藤氏「必要な指導だと思っていた」
百条委の8月30日の証人喚問では、斎藤氏は職員に対して「厳しい叱責をしたことや付箋を投げた、机を叩いた」ことを認めた。そのうえで「必要な指導だと思っていたが、不快に思った人がいれば、心からお詫びしたい。パワハラかどうかは私が判定するというより、百条委員会などが判定するものだ」と述べている(NHK)。 また、県知事選の街頭演説では「特定の職員を徹底的に追い詰めるということはしていないです」と述べつつ、「確かに注意の仕方が厳しかったり、そういったところは反省しないといけない」と厳しい指導があったことは認めている。
パワハラとは
パワハラについて、厚生労働省は「パワーハラスメントの定義について」で3つの要素を定義している。「優越的な地位に基づいて行われること」「業務の適正範囲を超えて行われること」「身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、若しくは就業環境を害すること」だ。 また、「精神的な攻撃」として「大勢の前で叱責する」「ものを机に叩きつけるなど威圧的な態度をとる」などをあげている。
判定
兵庫県議会の不信任決議で失職した斎藤前知事はパワハラはしていないといった言説が拡散したが、根拠不明。県職員へのアンケートでは実際に目撃などで知っている人が140人、間接的に聞いて知っている人も含めると回答者の4割を超える。本人も「厳しい叱責」「机を叩いた」ことなどを認めており、「必要な指導だと思っていた」と述べているが、パワハラの定義にあてはまる行動だ。
あとがき
不信任決議が可決された斎藤氏の失職にともなう兵庫県知事選では、大量の偽・誤情報が飛び交う自体になっており、日本ファクトチェックセンター(JFC)でも検証記事を出しています。 「兵庫県知事選 稲村氏が当選すると外国人の地方参政権が成立する?公約になく、本人も否定【ファクトチェック】」(関連記事リンクでご覧ください) 「斎藤氏がパワハラをしていた根拠がない」という主張に対しては、この検証のようにアンケート結果や本人の発言やパワハラの定義を示すことができます。一方で「パワハラをしていた根拠がない」という主張には、どのような根拠があるでしょうか。本人も厳しい指導があったことは認めています。 「Aは誤っている」と主張するBが正しいとは限りません。根拠を確認する手法として、JFCのファクトチェック講座なども参考にしてみてください。 「理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介」(関連記事リンクでご覧ください) 検証:宮本聖二 編集:藤森かもめ、古田大輔 判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。