「風が強いと全部落ちる」台風10号接近に備え、リンゴやナシの収穫急ぐ
台風10号の日本列島接近に伴い、長野県内では26日、果実農家が収穫や強風、浸水への対策を急いだ。 下伊那郡松川町元大島の農家鈴木章弘さん(50)は、朝からナシのわせ種「幸水」の収穫を進めた。先週から収穫を始め、今が最盛期。「風が強いと全部落ちてしまう。台風は昔と比べて勢力が大きくなっている気がする」と心配そうに話し、手早く実を摘み取っていった。 【写真】リンゴ農家は強風対策 2019年の台風19号で被災した長野市赤沼の「中村農園」では、強風で木が揺れてリンゴが落ちないよう、「秋映(あきばえ)」と「千秋」を100本以上栽培している約8ヘクタールの農園に約50本の支柱を立てた。浸水被害が予想される場合は、倉庫にある農業用具などをフォークリフトで高い場所に上げる予定でいる。 代表の中村太士さん(42)によると、今年は春先の凍霜害にも遭わずに実が順調に生育し、収穫が始まったばかりで「明日以降、収穫を前倒しするかスタッフと話し合って決める」。10月ごろから収穫体験も行う計画で「リンゴを楽しみにしているお客さんの期待を裏切りたくない。台風を乗り切ったリンゴをぜひ食べに来てほしい」と話した。 リンゴ栽培が盛んな松本市今井地区。「つがる」を栽培する犬飼宏治さん(69)は午前8時ごろからリンゴ園で収穫を進めた。収穫の適期まで「あと一歩」だが、風が吹いて傷が付くと売り物にならないため、赤く色づいた実を次々ともいでいった。「あとは防風ネットを張って祈るしかない」と空模様をうかがった。