「デジタルゴールド」の次は「インターネット債券」──イーサリアム・ステーキングとは
利回りを支えるもの
投資の根拠を完全に理解するためには、その利回りの原動力を理解することが重要だ。イーサリアムの場合は、1)プロトコル、つまりコンセンサスレイヤーの報酬、2)優先取引手数料、つまり実行レイヤーの報酬だ。 コンセンサス報酬は、プロトコルの安全性を確保する対価としてバリデーターに与えられる。報酬の大きさは、ネットワークの安全性を確保しているバリデーターの数と相関関係にある。 コンセンサス報酬はバリデーター間でシェアされるため、バリデーターが多ければ多いほど報酬は低くなる。イーサリアムでは、プルーフ・オブ・ステークに移行して以来、バリデーター数が大幅に増加している。その結果、コンセンサス報酬は減少している。 優先取引手数料はイーサリアムの利回りの2番目の要素であり、取引処理を通じて生み出され、ユーザーによって支払われる。 実行報酬のボラティリティは、エコシステム全体のアクティビティと需要のレベルと相関関係にある。 注目すべきは、FTX(2022年11月)とシリコンバレー銀行(2023年3月)の破綻時、およびミームコイン取引の熱狂時(2023年5月)に、ユーザーがブロックチェーン上で取引を確認してもらおうと殺到したため、取引手数料が急騰したことだ。 現在、イーサリアムのステーキング利回りは、新しい「インターネット債券」を支えている。伝統的な金利と同様に、ステーキングされたイーサリアムの利回りは競争力のあるリターンを実現し、仕組み商品を生み出し、新しいクラスのデリバティブを可能にする。 投資家の注目がイーサリアムに集中するにつれて、イーサリアム本来の利回りを統合した「トータル・リターン」商品が中心になることは間違いない。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Julien Moreau /Unsplash|原文:Crypto for Advisors: Ethereum Staking
CoinDesk Japan 編集部