「デジタルゴールド」の次は「インターネット債券」──イーサリアム・ステーキングとは
わずか2カ月足らずで100億ドル以上(約1兆5000億円、1ドル150円換算)の資金を集めたビットコインETFは、すでにETF史上最も成功した市場デビューと考えられており、エキサイティングな暗号資産(仮想通貨)に対して、メインストリームからの注目を広く集めている。 2100万の供給上限を持つビットコインの「デジタルゴールド」または価値の保存手段としてのストーリーは容易に理解できる。そして今、投資家は「次は何だ?」と問いかけている。 そこで、時価総額第2位の暗号資産イーサリアム(ETH)の出番だ。イーサリアムは「スマートコントラクト」のパイオニアであり、現在では分散型金融(DeFi)、ノン・ファンジブル・トークン(NFT)など、エコシステム全体にさまざまなアプリケーションを含んでいる。 これらのアプリケーションは、イーサリアムが10年近く前に考案されて以来増え続けており、そのブロックチェーン上で取引を記録するための「ガス代」の支払いに必要なネイティブトークンであるイーサリアムの需要を牽引している。 ビットコインと同様、イーサリアムは通貨供給を安定させるための仕組みを備えており、その供給量は現在、わずかにデフレ傾向にある。 供給が安定し、需要が増加し、有用性が明らかな資産であれば、投資リサーチに値するだろう。イーサリアムはまた、「ステーキング」と呼ばれるプロセスを通じてネットワークのバリデーターとして、ネットワークのセキュリティ維持に参加する人々にも魅力的な利回りを提供する。 取引を検証するために、数式を解くマイナーに依存する「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」を採用するビットコインとは異なり、イーサリアムは2022年に「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」と呼ばれる検証メカニズムに移行した。 このアプローチでは、トークンを「ステーキング」することでネットワークのセキュリティ確保に参加した人はプロトコルから報酬を受ける。さらにこうした人たち(バリデーターと呼ばれる)は、取引処理の特別なインセンティブである優先取引手数料と呼ばれる報酬も受け取る。 現在、イーサリアムのネットワーク上には約100万人のバリデーターが存在し、安定した通貨供給を背景に、プロトコル報酬と優先取引手数料の組み合わせは投資家にとって魅力的な利回りをもたらしている。 ビットコインが「デジタルゴールド」として知られるようになった一方で、イーサが「インターネット債券」と呼ばれるようになったのは、この基礎となるステーキング利回りのためである。