「僕が勝たせてあげられなかった…批判は受けます」日本シリーズ進出を逃した巨人・阿部慎之助監督の“経験不足”…敗れるなりの理由があった
ジョーカー的な働きをした坂本勇人
逆に意識すれば意識するほど、むしろ力を発揮するのが修羅場の経験が豊富なベテランである。シーズン終盤の優勝争いの中では、こういうケースでジョーカー的な働きをしたのは坂本勇人内野手だった。 決戦と言われた9月10日からの広島との3連戦では、阿部監督は「困った時にはベテラン」と坂本を2番に入れている。その期待に応えて坂本は、初回に先制本塁打を放ってチームに勢いをつけた。スポーツ紙各紙のCS初戦の先発予想でも「3番・坂本」が大勢を占めていた。しかし指揮官の坂本の打順選択は中軸の3番ではなく、4番・岡本和真内野手の後ろ、5番の大城卓三捕手の後に並べた6番だったのである。 「第1戦でも2つの四球を選んでいるように、向こうは岡本とは勝負してくれない。だから岡本の後ろがむしろポイントで、そこを固める必要があった」 こう語るのは村田善則総合コーチだった。
オーダー編成を批判するつもりはないが…
確かにDeNAバッテリーは徹底的に岡本との勝負を避けてきた。その網を潜って岡本も第2戦ではタイムリー安打、第3戦では先制本塁打と結果を残し、その後は4つの申告敬遠で歩かされている。ところが肝心の5番は坂本を含めて6試合22打数で安打は0。ここにも打線のチグハグさが露呈する結果となってしまった。 結果論でシリーズ序盤のオーダー編成を批判するつもりはない。しかし経験の浅い若手選手にシーズン中にもやったことのないことを、ポストシーズンでいきなり求めるのは「荷が重かった」との指摘には頷ける。だからこそ「困った時にはベテラン」というシーズン通りの阿部野球で初戦から戦っていればと思ってしまうのである。 吉川というカードが1枚足りなかった打線は、第3戦で調子の良かったベテランの丸佳浩外野手を1番から3番に移動。第4戦からは左手首骨折から復帰したばかりのエリエ・ヘルナンデス外野手を緊急招集して、5番に据えることで形が整い、逆襲に転じるきっかけとなった。そして打順を下げて多少なりとも重圧から解き放たれたからこそ、中山のその後の活躍もあったのではないだろうか。
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