【SMA50th】UNICORNが氣志團、スカパラをゲストに“音楽で遊んだ”2DAYS。『SMA50周年ライブ』の模様をレポート
■ユニコーンはアニバーサリーを祝うのが大好き 8月28日、29日の2日間にわたって『SMA50&Uc300祭~横浜ユニパラ團~』が神奈川県民ホールで行なわれた。 【画像】UNICORN(『SMA50&Uc300祭~横浜ユニパラ團~』より) ユニコーンはアニバーサリーを祝うのが大好き。これまでもメンバーの還暦祭などなにかにつけて盛大なイベントを開催してきた。今回はメンバー5人の年齢を合計するとちょうど300歳になるタイミングなので『Uc300祭』。さらには所属事務所のSMAが50周年を迎えるので『SMA50』。両方同時に祝っちゃおうという対バン・イベントになった。 8月28日のゲストは氣志團、8月29日のゲストは東京スカパラダイスオーケストラで、どちらもSMA所属の重鎮たちだ。さてどんな祭になったのか、レポートしてみよう。 ■数々の修羅場をくぐってきたバンドならではのオーラが漂う、氣志團 定刻の28日18時半、神奈川県民ホールにドデカいオートバイのエンジン音が響き渡る。そこにかぶさるように叶 亜樹良のドラム・ソロが炸裂する。不穏な空気の中、原色の衣装をまとった綾小路 翔(DRAGON VOICE, MC & GUITAR)、早乙女 光(DANCE & SCREAM)、西園寺 瞳(Gu)、星グランマニエ(Gu)、白鳥松竹梅(Ba)と微熱DANJI3人がステージに入ってくると、場内騒然。5人がフロントに並び、1曲目は「俺達には土曜日しかない」だ。激しく踊りながら“D・O・Y・O・U・B・I”と観客と大合唱をやってのける。続くライブの人気曲「房総魂」では西園寺と星がツインリードギターをビシッと決める。 タイトな演奏と目まぐるしく展開するダンスは圧巻だ。名物イベントとなった氣志團万博などで多くの歓声を浴び、数々の修羅場をくぐってきたバンドならではのオーラが漂う。 そして次のユニコーン・カバー「服部」が凄かった。もともと激しく縦にビートを刻む曲だけに、氣志團得意の振り付けがよく似合う。さらには歌詞の内容が人生のキャリアを積んだオッサンに対するリスペクトがメインなので、氣志團とユニコーンの関係がピタリと当てはまる。まるで自分たちの持ち歌のような堂々たるパフォーマンスで、会場からは万雷の拍手が巻き起こったのだった。 MCで綾小路は「世界一愛してる先輩、ユニコーンとの対バンだ」と、初期の氣志團をプロデュースしてもらったABEDONに対する敬意を表わす。一方で「SMAと『餃子の王将』は創業が同じ年」と、SMAへのリスペクトも忘れない。しかしその後、とんでもない展開が待っていた。 「新曲やります、『ワンナイト・マチュリー』!」と綾小路が言って、ユニコーンの新曲「マチュリー」と「One Night Carnival」のマッシュアップ的な演奏へ。最後は「One Night Jamboree」に突入。オーディエンスはおおいに笑い、大喜びする。アンコールで綾小路が「『One Night Carnival』をちゃんとやります」と掟破りの“One Night Carnival3連発”を宣言すると、ステージに学ラン&リーゼント・ヘアのユニコーンの5人が現れた。場内から爆発的な歓声が上がる。 「学ランもリーゼントも想像してたのより似合い過ぎてて、お客さんが引いてる(笑)。すげー怖いんだけど。やっぱ広島、ハンパない」と綾小路。今度こそ本当の「One Night Carnival」の始まりだ。氣志團のメンバーはもちろん、ユニコーンのメンバーもノリノリで踊ったり歌ったり。ラストは全員で有名な“BOΦWYのポーズ”を決めて締めくくり、見事トップバッターを務めたのだった。 ■ABEDON(58歳)、EBI(58歳)、奥田民生(59歳)、川西幸一(64歳)、手島いさむ(61歳)、合計300歳のライブが始まる ユニコーンはその昔、「CSA」という楽曲を発表している(1990年)。当時、所属していた事務所CSAの住所と電話番号が歌詞になっているユニークな作品で、その後、社名は「SMA」に変更され、現在に至っている。2009年にユニコーンが再始動した際、「CSA」は「SMA」として蘇った。 その「SMA」の音源が会場に流れると、オーディエンスがざわつく。そう、このライブはSMA50周年祭でもあるのだ。そこへ黒の学ランから白のツナギに着替えた5人が登場すると、ざわつきが悲鳴のような歓声に変わる。超盛り上がった氣志團のアンコールの後、どうなるのかそわそわしていたファンたちが、エンジンを全開にしたのだった。 ABEDON(58歳)、EBI(58歳)、奥田民生(59歳)、川西幸一(64歳)、手島いさむ(61歳)、合計300歳のライブが始まる。1曲目の「WAO!」が川西のドラムからパワフルにスタートする。続いて奥田のカウベルが小気味いいアクセントをつける。ABEDONがアクションを混じえてユーモアたっぷりに歌い出す。サビで手島のタッピング・ギターが冴えわたる。完璧なオープニングだ。 「ありがとうございます! こんばんは、ユンコーンです。氣志團のファンの方って、氣志團ぽいカッコ、しないんですか?」とまずは奥田が笑わせる。会場にはユニコーンのファンと氣志團のファンが入り混じっているはずなのだが、あまり見分けがつかない。どちらかに片寄らずオーディエンスが平等に楽しむのは、素晴らしい対バンの証拠だ。 AIボーカルで話題になった最新アルバム『クロスロード』からの「ネイビーオレンジ」も、初期の「おかしな2人」も同量の熱量で会場を沸かせる。ギアが一段上がったのは「チラーRhythm」だった。ミラーボールが回り、ディスコビートがユニコーンファンも氣志團ファンも踊らせる。ホールの全員を包むように、♪俺たちはいいぜ♪という歌詞が響く。 「SAMURAI 5」では氣志團のメンバーが登場して旗振りパフォーマンスを手伝おうとするのだが、ABEDONのギャグに巻き込まれてしまう。「今度の台風、遅くな~い」だの「俺のMC、長くな~い」だの、アドリブとは思えないやり取りに会場中が笑いころげる。 アンコールでは祭半天姿の氣志團が加わって、ユニコーンの最新曲「マチュリー」を歌い、遊び心満載の初日が終わったのだった。 ■「今夜は憧れを捨てて、思い切り闘います!」と宣言の、東京スカパラダイスオーケストラ 29日の開演を待つ間のBGMは、前日同様、横浜とチャイナタウンがテーマの選曲で楽しませてくれる。矢沢永吉の「チャイナタウン」や泰葉の「フライディ・チャイナタウン」、シブいところでは五木ひろしの「よこはま・たそがれ」が気分を盛り上げてくれる。この日の対バンは東京スカパラダイスオーケストラ(以下、スカパラ)だ。 照明が落とされオープニングのSEが流れると、会場は早くもハンドクラップの嵐。黄色いスーツの9人がステージに現れると、いきなり怒涛の盛り上がりだ。谷中敦(Baritone sax)が「準備はいいか!」と叫んでスカパラの代名詞「DOWN BEAT STOMP」が始まり、オーディエンスたちが拳を振り上げてド派手なスタートとなった。 「凄いね、盛り上がってくれてるね。みんなの歓声も含めていいサウンドだ!」と谷中。「SMAは50周年、ユニコーンは300歳、スカパラは35周年です。デビューする前に、スカパラホーンズはユニコーンの武道館に参加させてもらいまいた。忘れられない経験をさせてもらって本当に感謝してます。でも今夜は憧れを捨てて、思い切り闘います!」。その潔さに会場が大歓声で応えると、ここからはノンストップのガチンコ勝負だ。 「Glorious」では会場中がタオルを回す。見れば谷中のタオルには「スカパラ甲子園」の文字。ちゃっかり11月の35周年ビッグイベントの宣伝をしている。「火の玉ジャイヴ」では茂木欣一のドラムがジャングルビートでぐいぐい引っ張る。NARGOのトランペットのハイトーンが冴え、GAMO (Tenor sax)がアジテーションしまくる。ギターの加藤隆志が台上で「行きます!」と叫んで始まった「ルパン三世のテーマ’78」は、これぞスカパラというナンバー。エモい「STROKE OF FATE」では大森はじめがパーカッション・ソロを披露。洗練されたフュージョンの「東雲25時」では川上つよしのベースがグルーヴマスターになる。明るいスカの「Natty Parade」ではNARGOと北原雅彦(Trombone)が交代でソロを取る。7月にリリースした新曲「一日花」では沖祐市のピアノをバックに茂木が柔らかいボーカルを聴かせる。スカパラの音楽の懐の深さを痛感するセットリストだ。お待ちかねの「美しく燃える森」では奥田民生がゲストとして登場し、ボーカルを取る。何度も一緒にやっている曲だけに出来は素晴らしく、オーディエンスはじっくり耳を傾けたのだった。 ここでユニコーンのメンバーがブラスを手に手にブラックスーツ姿で合流。ABEDONはトランペット、奥田はサックスを持って、スカパラの代表曲「Paradise Has No Border」をコラボする。この曲は要所要所でポーズを決めるのだが、いつものスカパラより5人増えて大迫力のパフォーマンスとなった。中でもトロンボーンを持ったEBIがかっこいい。本当に吹いているかどうかはわからないが、ポーズだけはスカパラ以上(笑)。オーディエンスたちは狂喜して踊ったのだった。 ■スカパラホーンズが加わり、ぐっと厚みを増したサウンドと、スカパラの豪快なアクションが相乗効果を生んだ「大迷惑」 さていよいよ締めくくりのユニコーンのライブだ。白いツナギの5人は気合充分で「WAO!」に突入。スカパラで完全にあったまった会場をガッチリ受け止める。途中、ABEDONが「さっきトランペット吹いたから、唇がタラコになっちゃった」と告白して笑いを誘う。「あなたが太陽」ではメリハリの効いた5人のボーカルのバリエーションで楽しませる。 「ありがとうございます! さっきスカパラで俺たちが出たから、もういいんですよ。もう体力、使ったよ。スカパラももう就寝してます」と奥田がボヤくと、会場から「頑張れ~!」と声がかかる。「俺たちはスカパラみたいにはできないのよ(苦笑)。でも頑張ります」。 初期を彷彿とさせる近作「ネイビーオレンジ」と、初期ナンバー「おかしな2人」を並べるセットリストに、このバンドのキャリアの確かさを感じる。一方で「ZERO」では壮大な曲調を奥田とABEDONのボーカル・ハーモニーが見事に表現して、いまだにバンドが進化していることを見せつける。 「大迷惑」でついにその瞬間が訪れた。ユニコーンきってのエキサイティングなナンバーに、スカパラホーンズが加わると会場は大爆発。ぐっと厚みを増したサウンドと、ホーンズの豪快なアクションが相乗効果を生んで、このイベント最大の山場となった。手島のギター・ソロは冴えまくり、川西のドラムは超速でドライブする。エンディングではなんと北原がジャンプ。すると奥田は大声で「カッコいい!」と3回も叫んだのだった。さらに奥田が「豪華! 豪華! 贅沢! スカパラホーンズ!!」とダメを押す。「もう今日はこれで終わりでいいやん」と感動の言葉をつぶやいた。 興奮醒めやらぬ会場に背を向けてABEDONが「SAMURAI 5」を歌い始める。サビでオーディエンスは一斉にフラッグを振る。よく見れば川西の後ろでも旗が振られている。スタッフが川西の気持ちを代弁するかのようにアシストしているのだ。 「今日みたいに知ってる人たちと半分半分でライブをやっていきたい。自分たちだけで2時間とかやるの、止めようよ」と奥田はうれしそうに言った後、「SMA60周年で会いましょう!」とニッコリ。アンコールの「マチュリー」ではスカパラ全員がステージに上がって、この日のライブの楽しさを分け合ったのだった。 ■徹頭徹尾、貫かれた“音楽で遊ぶ”というテーマ。それはユニコーンそのもの 『SMA50&Uc300祭~横浜ユニパラ團~』はユニコーンを軸として“音楽で遊ぶ”というテーマが徹頭徹尾、貫かれた。そのテーマはユニコーンのものであると同時に氣志團やスカパラのテーマでもある。そして音楽で遊ぶのがSMAという事務所のカラーでもあるなら、大成功のアニバーサリー2DAYSになった。 TEXT BY 平山雄一 PHOTO BY 三浦憲治 永井 峰穂(ライトサム) SMA50th Anniversary presents 『SMA50&Uc300祭~横浜ユニパラ團~』 UNICORN、氣志團 2024年8月28日 神奈川県民ホール セットリスト 氣志團 OP. アクセルコール×ドラムソロ 1. 俺達には土曜日しかない 2. 房総魂 3. 服部 4. スウィンギン・ニッポン 5. 萌え萌えROCK\'N\'ROLL 6. 愛 羅 武 勇 7. ワンナイト・マチュリー 8. One Night Jamboree EN. One Night Carnival UNICORN 1. WAO! 2. あなたが太陽 3. ペケペケ 4. ネイビーオレンジ 5. おかしな2人 6. チラーRhythm 7. ZERO 8. 大迷惑 9. SAMURAI 5(with 氣志團) 10. アルカセ EN. マチュリー(with 氣志團) UNICORN、東京スカパラダイスオーケストラ 2024年8月29日 神奈川県民ホール セットリスト 東京スカパラダイスオーケストラ 1. DOWN BEAT STOMP 2. Glorious 3. 火の玉ジャイヴ 4. ルパン三世のテーマ’78 5. STROKE FATE 6. 東雲25時 7. Natty Parade 8. SKA ME CRAZY 9. 一日花 スカパラVer. 10. 美しく燃える森 feat. 奥田民生 11. Paradise Has No Border feat. UNICORN 12. Dale Dale! -ダレ・ダレ!- UNICORN 1. WAO! 2.あなたが太陽 3.ペケペケ 4.ネイビーオレンジ 5.おかしな2人 6.チラーRhythm 7. ZERO 8.大迷惑(with 東京スカパラダイスオーケストラ ホーンセクション) 9. SAMURAI 5 10.アルカセ EN.マチュリー(with 東京スカパラダイスオーケストラ)
THE FIRST TIMES編集部