霊視えすぎ芸人・シークエンスはやとも「心霊ネタはやりたいことではなかった」辞める直前に訪れた転機
いま、空前の怪談・オカルトブームを迎えている日本。怪談師のライブは即日ソールドアウトし、イベントは大盛況、熱狂的なファンがつきSNSのフォロワー数や動画再生回数は派手な数字を示している。吉本興業所属の芸人で、生き霊や悪霊など、“視えすぎる芸人”として活動するシークエンスはやとも(33)も、そんなひとり。小学生の頃からその能力に目覚めていたものの「心霊ネタをやりたかったわけではない」と明かす彼の、THE CHANGEとは。【第1回/全5回】 【画像】霊視えすぎ芸人・シークエンスはやとも『ホンマでっか!?TV』本編で話せなかった「生き霊」事情を語る動画 自身に憑いた霊を視てもうらうべく、楽屋で芸能人が列をなすほど“視えすぎる”という芸人・シークエンスはやともさん。11月2日に東京・有明アリーナで開催された都市伝説系YouTuberナオキマンさんとのイベントはソールドアウトとなるなど、熱狂的な人気を博しているが、2014年にNSC東京校に入学した当時は「高校時代の友達とコンビを組んで、普通に漫才とコントをしていて、半年で解散した」という。 「次に組んだ人は、長渕剛の武道館ライブを観に行った数日後に田舎に帰っちゃって」 ーーどういうことですか……? 「九州の人で、元々自衛隊員でガタイがいいわりにすごく緊張しいでした。在校生ライブ『RUSH』に出たとき、ウケたんですよ。でも、彼は緊張しすぎて客席のウケた声がまったく聞こえなかったらしくて、僕がどんなに“ウケたよ”と言っても”いや、ウケてない。聞こえない。めっちゃスベった”と信じてくれないんです。それで武道館に行って、帰ってきて、ネタ合わせの最中に”俺、やっぱり辞めるわ”となったんです」
ピン芸人になりたい奴なんて、ほとんどいないと思う
はやともさんは当時のことを「最初の挫折だった」と振り返る。 「ピン芸人になりたい奴なんて、ほとんどいないと思うんです。いまピンで売れている人って、ゆりやんレトリィバァさん、横澤夏子さん、ケンコバさんとハリウッドザコシショウさんはコンビだったし、解散してひとりでやったらハマったタイプばかりだと思います。 それに、ピンになるとM-1やキングオブコントで優勝できなくなるし、R-1グランプリなんて誰も観ていないじゃないですか。ある意味、王道のお笑い芸人として売れることを諦める、ということになる。だから僕にとって、ピンになる=挫折、だったんです」 「芸人に向いていないのではないか」、そう挫折感を味わいつつも、コンビ時代はNSC最下位クラスに所属していたが、ピンになったとたんに上位クラスに昇格した。それでも自身で「向いていない」というマイナス思考に追い打ちをかけた出来事もあった。 「若手劇場『ヨシモト∞ホール』にはピラミッドシステムがあって、最初は最下層からスタートするんです。上位にコンビ芸人がひしめく中、ピンで打ち勝つのはかなりの天才じゃないとキツイな、と思っていたんですよね。でも、横澤夏子さんがピラミッドの1位になったんです。下にはニューヨークさんや鬼越トマホークさん、オズワルドさん、ユニバースさん、令和ロマンさんとか錚々たるメンバーがいて、その上に横澤夏子さんが立って、すごくかっこよかった。そんな光景を見ればみるほど”俺は向いていない”と思いました」 ピラミッドは高かった。「2番目には行けたけど、どう計算しても1番上に行けるとは思えなかった」と、芸人引退を本格的に考え始めた。 「もう辞めよう、と思いました。そんなときにたまたま、僕の霊感を『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)のプロデューサーさんが見初めてくれて、番組に出してくれて。ある程度世間様に知っていただけたんです。心霊ネタはやりたいことではなかったけど、このとき僕は一度は死んだ身だと思って、プライドも自尊心もない状態だったし、”受け入れてもらえるなら、これでいこう。やれるところまでやろう”と心を決めたんです」 ーーいまのスタイルは、やりたいことではなかったんですか。 「まったくやりたいことではなかったです。ただ、“自分がやりたいこと”が“世間が自分に求めること”かどうか、そこにギャップがある。そんな、みんなが20代前半で気づくことに僕は30歳手前でやっと気づけたんです」 芸人としては不本意だったという“視えすぎ”芸。だがいま、すっきりとした表情で語るはやともさんを見ると、その選択に間違いはなかったのではないだろうか。 シークエンスはやとも 1991年7月8日生まれ、東京都出身。吉本興業所属の“霊が視えすぎる”芸人。小学3年の時、凶悪事件の決定的瞬間を目撃したのを機に、幽霊と生き霊がキャッチできるようになる。 デビュー後、iPadで解説する「生き霊チェック」が評判を呼び、芸人仲間から超人気アイドルまで楽屋に行列するように。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)など多くのバラエティー番組で注目される一方、YouTubeでも人気を集め、『シークエンスはやともチャンネル~1人で見えるもん。~』は登録者数40万人を突破。「心霊に恐怖する時代は終わった」を合い言葉に、霊を知ることで見えてきた幸せな生き方をわかりやすく伝授している。10月17日に最新著書『憑いてる人は痩せません 生き霊「お祓い」ダイエット』を上梓した。 有山千春
有山千春