能登の味覚、音楽堂に並ぶ 被災事業者支援「マルシェ」始動 無償で販売スペース提供
JR金沢駅前にある県立音楽堂は1日、能登半島地震で被災した事業者に無償で販売スペースを貸し出す取り組みを始めた。「音楽堂マルシェ」と題し、初日は玄関前の広場や屋内のエントランスホールで7事業者が干物やグルメ、特産品などを並べ、買い求める来場者や観光客でにぎわった。マルシェは継続して開催し、能登の復興支援につなげ、石川の玄関口に新たなにぎわいをもたらす。 【写真】エントランスホールに設置された出張朝市の屋台 オープニング・セレモニーでは表正人館長(珠洲市出身)が「能登の復興はまだ道半ばだ。音楽堂マルシェで能登を力強く応援したい」と意気込み、会場にいる全員でガンバロー三唱した。 屋内のホールでは「出張輪島朝市」が出店した。輪島市朝市組合のメンバーが魚介類の干物や塩などを販売。被災した七尾市の陶芸教室による絵付け体験は子どもの人気を集めた。屋外では能登ふぐ串揚げのキッチンカーやハマグリの浜焼きコーナーなどが並び、来場者が能登の味覚に舌鼓を打った。 穴水町の農家民宿が開業からわずか2カ月で全壊した、女性ハンターでつくる狩女の会の福岡富士子代表(54)は鹿肉のソーセージなどを販売。「行く場がなくなった時に場所を提供してくれて助かった。奥能登の復興を皆さんの力を借りて目指したい」と語り、笑顔で接客した。 ●2階のカフェも営業 マルシェに合わせ、2階のカフェ・コンチェルトも常時営業を開始した。来場者がくつろぎやすいように新たに椅子とテーブルが設置された。金澤ちとせ珈琲(コーヒー)(金沢市)がコーヒーや軽食を提供し、来場者は最高品質のスピーカーから流れるクラシックに耳を傾けながら憩いのひとときを楽しんだ。 県立音楽堂の1階と2階の一部は休憩スペースとしても開放している。電車の待ち時間など、駅利用者を呼び込みたい考えだ。 「音楽堂マルシェ」は出店者の希望に応じて開催される。県立音楽堂のホームページで出店スケジュールなどを公開する。出店希望の問い合わせは県音楽文化振興事業団まで。