刺激的な「ブリティッシュ」トリオ! 異なる個性が生む充足感 BBDC 2024(6) 頂上決戦
乗り出してすぐに夢中になれる元エリーゼ
白眉と表現したいほど安定し、限界領域へ迫っても乱れない。コーナーでアクセルペダルを僅かに緩めれば、フロントノーズが反応。クワイフ社製デフが効果的に機能し、踏み込めば即座に加速へ繋がる。 ラップタイムを狙うなら、勇気を振り絞ることになる。真剣に向き合うためのベースとして、圧巻の一体感がある。 入力へ忠実で、反応は緻密。徐々にブレーキングポイントを遅らせられ、最終的にはノーブレーキで突っ込めるコーナーも現れてくる。タイヤはトーヨー。車重は699kg。なんと深く惹き込まれるロードスターなのだろう。 乗り出してすぐに夢中になれる。これこそ、究極のドライバーズカーへ求められる強みではないだろうか。ドライバーとマシンが1つになったような感覚があり、攻めれば攻めるほど、結びつきは深くなっていく。 突き詰めると、濡れたアスファルトでは若干の不安定さが顔を出す。とはいえ、サーキットで真価を発揮するほど高次元でありながら、平滑ではない公道でもすこぶる面白い。アナログ・オートモーティブのレストモッドは、見事だといっていい。 コースを40周した後でも、時間が許す限り、延々と楽しめるかもしれない。こう感じたのは、筆者だけではなかったようだ。 「エリーゼの場合、パワフルになるほどドライバーが報われなくなる、という過去の方程式があります。でも、この場合は当てはまりませんね」。アンドリュー・フランケルらしい褒め言葉だ。 この続きは、BBDC 2024(7)にて。
リチャード・レーン(執筆) マックス・エドレストン(撮影) ジャック・ハリソン(撮影) 中嶋健治(翻訳)