フリマサイトで注目を集める「呪文や魔法」オカルトサービスの実態、米国
儲かる小規模ビジネスを築いている呪文のセラーたち
さらに、これらのアイテムの下には、類似した商品がアルゴリズムでレコメンドされており、例えば「テレポーテーションのための呪文」の下には、40ドル(約5700円)で販売中の「ボディスワップ(人格の入れ替え)」や「ライフスワップ(人生の入れ替え)」の呪文が並んでいる。 また、エッツィで最も人気の呪文としては、ごく短期間で金銭的な幸福が訪れることを約束するものが挙げられ、「朝目覚めた時、銀行口座が突然の現金流入で幸せなダンスを踊っているのを想像してみてください」などと書かれている。 「このような怪しげな話は、インターネットが登場する前から存在していたもので、そのオンライン版があっても不思議ではない。しかし、エッツィのような大手企業は、今以上の道義的責任を持つべきかもしれない」と、フロリダ州のエッカード大学で宗教学を教えるチャールズ・マクリアリー教授は指摘した。 さらに、うつ病を治す呪文や妊娠する能力を高めるといった健康上の利益を約束する呪文については、こうした主張を行うサービスを規制する政府の機関があることを考えると、特に問題があるように見える。米食品医薬品局(FDA)の広報担当者は、これまで呪文を承認したことが「当然ない」と述べ、そうした主張をする製品は「規制上の要件に従う必要がある」と付け加えた。 それでも、いくつかの呪文のセラーたちは儲かる小規模ビジネスを築いている。74歳のカナダ人女性で「ウィッカの実践者」を自称するローワン・モルガナは、10年以上にわたりエッツィでオカルトアイテムを販売している。彼女は、購入者が自ら実践できる呪文を販売し、20万ドル(約2万8000円)以上を稼いだとフォーブスに語った。 「私は13年前にエッツィに出会い、自分の呪文をいくつか掲載してみたところ、すぐに売れたので続けた」と彼女は語った。その当時、呪文のセラーは非常に少なく、彼女はプラットフォーム上で最も人気の呪文の販売者の一人としての地位を築き、1万3000件以上のレビューを獲得している。 一方、この記事の冒頭で紹介した魔法使いのニックは、時おりユーザーからのクレームや1つ星の評価に直面している。彼が販売中の「異性にモテモテになれる」と謳う呪文には、100を超える5つ星の評価が並んでいるが、中には「全く効果がなかった」と訴える購入者もいる。 「ほとんどの人たちは効果を実感しているが、1つ星や2つ星の評価をつける購入者もたまにはいる。クレームが来たら返金して、それで終わりだ」と、彼は述べている。「私の作品は本物だ。私が作るシジルには労力が注がれている。人を騙そうとしているわけではない」とニックは語った。
Cyrus Farivar