考察『虎に翼』やっぱりとにかく伊藤沙莉がいい!
寅子を生きる伊藤沙莉の葛藤
『虎に翼』公式サイトには、定期的に伊藤沙莉のインタビューが掲載される。週ごとに、どんな思いで演じていたかを彼女が率直に語るものだ。たとえば物議を醸した第14週の穂高先生への態度も「根底にある先生への愛と敬意が怒りとして表れた」と伝えている(「怒り」の根底にあるのは「愛と敬意」で、二人の“親子げんか”)。 第12週の戦争孤児たちがたたずむ道を歩くシーンで、止まらずに歩かなければならないシーンなのに立ち止まってしまったことについて、彼女はこう語っている。 「トラちゃんではなく私個人として、通り過ぎることが冷たいと感じてしまったんですよね。でもそれは表面上の優しさで、私自身の甘さだなって」 手を差し伸べたい人に対してどうするのが最善なのかを悩み、もがく。それはまさに寅子の生き方そのものだ。寅子と自身とを重ねて演じる伊藤沙莉が、この先どんな顔を見せてくれるのか、残り2か月も毎日を楽しみにしたい。 ●番組情報 NHK連続テレビ小説『虎に翼』 作_吉田恵里香 制作統括_尾崎裕和 演出_梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉 出演_伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫 他 プロデューサー_石澤かおる、舟橋哲男、徳田祥子 主題歌_米津玄師『さよーならまたいつか!』 放送_毎週月~土午前8時~、再放送午後0時45分~(土曜日は一週間の振り返りを放送) NHKプラスにて見逃し配信中 ●釣木文恵/つるき・ふみえ ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆 ●まつもとりえこ イラストレーター。『朝日新聞telling,』『QJWeb』などでドラマ、バラエティなどテレビ番組のイラストレビューを執筆。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。 Edit: Yukiko Arai
GINZA