村上春樹「自分で言うのもなんだけど、なかなか渋いラインアップです」自身のラジオ番組『村上RADIO』で“知る人ぞ知るソングライター” マット・デニスを特集
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。5月26日(日)の放送は「村上RADIO~マット・デニス・ソングブック~」をオンエア。「ソングブック」シリーズ第4弾は、作曲家にしてピアニスト、アレンジャー、そして歌手としても活躍したマット・デニス特集。この記事では、前半2曲について語ったパートを紹介します。
<オープニング曲> Donald Fagen「Madison Time」
こんばんは、村上春樹です。村上RADIO、今夜は「マット・デニス・ソングブック」をお届けします。村上RADIO恒例のソングブック・シリーズ、モーズ・アリソン、レイ・チャールズ、ホーギー・カーマイケルに続いて、これで4回目です。自分で言うのもなんだけど、なかなか渋いラインアップですね。 マット・デニス(Matt Dennis)、そんな名前聞いたこともないぞ、という方もきっと多くいらっしゃることでしょう。でもこの人、嚙めば嚙むほどじわっと味わいの出る素敵な名曲をいくつも書き残しています。都会的で洒落ていて、ユーモアとロマンスに溢れていて。そんなマット・デニスさんの音楽世界に耳を傾けてみてください。 マット・デニスは1914年の生まれ、2002年に88歳で亡くなっています。1940年代~1950年代にかけて、作曲家にしてピアニスト、アレンジャー、そして歌手としても活躍しました。とても多作な方で、生涯に1,000を越える数の曲を作ったと言われています。ほとんど書き飛ばし状態だったんでしょうね。もちろんすべてが名曲というわけにはいきませんし、ジョージ・ガーシュインやアーヴィング・バーリンに並ぶような、歴史に残る偉大な作曲家とは呼べそうにありませんが、少なくとも1ダースは後世に残る名曲を書き残しています。それで、この1ダースほどがまた素晴らしいんです。 知る人ぞ知るソングライター、マット・デニス。どうか皆さんも彼とお知り合いになってください。