打率1割台も…阪神・森下翔太が長距離砲で覚醒の予感 「30本塁打超え」実現も
勝利につながる価値ある本塁打
この男が一発を打つと、球場のボルテージが上がる。阪神の三番を務める森下翔太だ。 昨年10本塁打を放った試合は8勝1敗、勝率.889。勝負強さを発揮していたが、今年も春先から価値のある一撃を打っている。開幕2連敗で迎えた3月31日の3戦目・巨人戦(東京ドーム)。0対0の8回二死一、三塁の好機で、左腕・中川皓太が初球に投げた外角低めのシュートをすくい上げた打球は左中間スタンドへ。1号3ランが決勝弾となり、チームに今季初白星をもたらした。4月3日のDeNA戦(京セラドーム)でも、1点差を追いかける6回一死二塁で、濱口遥大のチェンジアップを豪快に振り抜くと、打球は左翼5階席に飛び込む特大アーチ。本塁打を確認した森下は打席で打球の行方を見守る「確信弾」だった。 【選手データ】森下翔太 プロフィール・通算成績・試合速報 大舞台であるほど燃える。プロ1年目からリーグ優勝、日本一を経験したが、集中力が最大限に研ぎ澄まされると底知れぬ能力を発揮する。オリックスとの激闘を4勝3敗で制した日本シリーズはプロ野球新人最多記録の7打点をマーク。7戦目は0対0の4回に左前打を放ち、シェルドン・ノイジーの先制3ランをおぜん立てすると、5回二死一、三塁の好機で左翼線に2点適時二塁打。9回にも中前打を放ち猛打賞で日本一に導いた。
指揮官が見出していた強打者の資質
昨年に就任した岡田彰布監督は開幕前、森下に強打者としての資質を見出だしていた。週刊ベールボールのコラムでこう語っている。 「新しい発見、そういう意味ではドラフト1位の森下やね。故障もあって出遅れたけど、一軍に合流させてからの存在感は、さすがドラフト1位やと思う。昨年のドラフト会議。高松商高の浅野(浅野翔吾)君を1位指名に決め、巨人と競合になった。原(原辰徳巨人監督)が先にクジを引き当てていたため、それで森下指名になった。もしあのとき、ウチが浅野君を引き当てていたら……、森下がほかのチームに先に指名されていたら……とか、いろいろなことを考える。そんな中でタイガースに入団した。この縁というのかな、これは大事にしないといけないものよね」 「とにかくバットを振れる。これが森下の最大の長所よ。恵まれた体でバットを振る。これって、できそうでなかなかできないもの。さらにタイミングの取り方もできている。これも見ていたら分かるけど、実戦で打席に入る前から、しっかりと準備している。軸がしっかりしているから遠くに飛ばせて、ボールを見極める力もある。さらに気持ちの強さもあるようだ。ルーキーにあるソワソワ感、そういうものが見受けられない」